隠居の独り言(1205)

今年のプロ野球も大詰めを迎えている。パリーグ楽天が初優勝した。東北・仙台に
本拠地を持ち、先の東日本大震災で傷ついた人々に素晴らしい勇気を与えてくれた。
セリーグの優勝の巨人は常勝チームなので嬉しさは「優勝セール」くらいのものだが
今年の楽天優勝シーンには近年になかった新鮮で感動的なものに日本中が沸いた。
日本人の美学や美意識は「悲運」があって初めて完結するものだが今までの楽天
パリーグの弱小チームだったし、そこへ震災に襲われた。だからこそ悲壮感が増して
感動はいやがうえにも誘われたのだろう。闘将・星野仙一は男を上げ、「マー君」こと
田中将大前人未到の23連勝を成し遂げ、プロ野球史上に大投手の名前を刻んだ。
しかし「陽あれば影あり」比較されるのは「マー君」と「ハンカチ王子」の斎藤佑樹
高校3年の時の夏の甲子園の決勝戦では引き分け再試合を戦い抜き最後は斎藤が
田中を三振に仕留めて優勝しライバル対決は斎藤に軍配が上がった。あれから7年。
サラリーマンの世界でも同期入社で互角のライバル同士であっても気付けば実力も
肩書きも大差がついた光景も多々あるが特にスポーツの世界は明暗がはっきりする。
早大のエースを経験し日本ハムに入団した斎藤は今では二軍でくすぶり、マー君
プロ野球の最強エースの名をほしいままにしている。ライバルとは残酷さも付きまとう。
いっぽうゴルフでも21歳の石川遼松山英樹のライバル関係が注目を浴びている。
石川は高校1年だった15歳でプロツアー初優勝を飾り史上最年少で優勝を更新し
翌年16歳でプロに転向して2009年には史上最年少で賞金王になった。その時点で
石川の長い黄金時代が到来するとまでいわれたが最近の戦績は低迷が続いている。
かたやアマチュア時代に石川に水をあけられていた松山は今年4月にプロデビュー、
あれよあれよという間に全米オープン10位、全英オープン6位と日本人最高順位で
世界ランキングも一気に石川を引き離してしまう。プロ野球もゴルフも今年は恰好の
ライバル勝負を演じてくれた。本人たちの悲喜をよそにマスメディアはそれを面白がる。
勝負の世界は厳しい。ただしこれはスポーツ界であって、日本の未来に絶対に負けを
味あわせてはならない。