隠居の独り言(1220)

小泉純一郎元首相は12日、日本記者クラブで会見し原子力利用につき原発ゼロを
目指すべきだとの考えを表明した。小泉は安倍内閣の支持率が高いことなど理由に、
安倍晋三首相が決断すればできる。こんな恵まれた時はない。ピンチをチャンスに
変える権力を首相は持っている。分かってほしい」と安倍首相に決断を促したという。
かつて「自民党をぶっ壊す!」と叫んで総理を射止めた現役時代さながらの演説だが
政治を引退したしたはずではなかったか。一般大衆は格好いい政治家の見てくれに
騙されやすい。たてがみヘアは羨ましいし、独特の演説スタイルは今も衰えていない。
でも在任中に郵政民営化フレーズで圧倒的勝利を収めたが、あれは何だったのか?
今も分からない。誰が得し誰が損したのだろう。その後の自民党の衰退、デフレ不況、
貧富の格差、小泉の負の遺産はあまりにも大きい。それにしても元宰相の無神経、
鉄面皮ぶりは今なお衰えず舌を巻くほどの一級品だ。息子、進次郎も頭が痛いだろう。
時事川柳に「純ちゃんと叫んだわたしが馬鹿だった」というのがあったが的を射ている。
日本の将来を考えれば元総理といえども「脱原発」など軽々しく発言すべきではない。
脱原発」の理想論は正しくは聞こえても原発停止による電気代UPは家計を直撃し
電気を多く使用する中小企業では製品に価格を転嫁できず、さらに火力発電のCo2
排出増加、ガスや石油の輸入が年7兆円に達し貿易赤字が更に進めば食料などの
生活必需品等の物価上昇が必至を元総理は承知なのか。世界は原発増設に大きく
動いている。化石燃料による発電にはコストが掛かるうえに、いずれ化石燃料が底を
つくだろう。太陽光、風力、水力等の自然利用も現状は採算外だ。アメリカでは現在
100基から倍増、中国も現在の15基から250基以上へ増産計画で、発展途上国
殆どが原発保持に向かっている。日本は原発先進国で安全の技術も世界のどこよりも
抜きんでている。それでも大津波による事故は防げなかった。福島事故を経験した
日本の現在は苦しんではいても、だからこそ禍根を教訓に世界の原発リーダー役に
なるべきなのに自縄自縛の罠に嵌っているのは愚と思う。安全と認可された原発
すぐにも稼働させ景気浮揚の原動力として活用するべきだ。先月安倍総理はトルコへ
親善訪問に出かけトルコの原子力発電所建設計画で意見交換し優先交渉権を得た
三菱重工業の受注を確実にしたという。確かに原発事故は恐ろしい。だからといって
日本経済発展のため、くじけてはいけない。小泉元総理の「言葉遊び」に付き合って
いる場合じゃない。人は何度も失敗を繰り返しながら今がある。原発の将来を憂える。