隠居の独り言(1222)

最近「絶食系」という言葉があるらしい。絶食といっても食事を摂らないことでなく所謂、
結婚したくてもできない「草食系」の男の行き着きついた言葉であって最近の晩婚化、
非婚化を象徴している。草食系のみならずそもそも結婚したくない「絶食系」の若者が
増えている世相だ。報道では異性との交際経験のない人や結婚を選択しない男女が
増加して未婚社会が進んでいる現状が紹介されている。50歳まで1度も結婚しない
「生涯未婚」の人が急増しているという。また別の調査では「女性と付き合ったことが
一度もない」と答えた20代の男性が35%、女性も30%というから大差ない。日本の
若年男性が草食化していると言われて久しいが女性への関心があっても自分からは
積極的に動こうとせず女性から近づくのを待っている消極的な男性が多くなったのも
嘆かわしい。「付き合うのが面倒だ」「声をかけてもどうせ断られるに決まっている」と
消極的な「絶食系」男性の異性に関心が無いのは男性ホルモン欠乏症なのだろうか。
異性を求めるのは理屈ではない。健全な心身の持ち主なら当然に行動に走っている。
男性は自らを強く磨き、女性は身も心も美しくなるのは異性への憧れと切望以外ない。
最近は格差社会ともいわれるが男女間にも顕著に表れている。従来通り男女交際を
楽しんでいる若者もいるが、その若者は中学高校時代から恋人がいるケースも多い。
いっぽう同性同士や、独りの気楽さで生涯独身の道を歩む人の多くなったのも事実だ。
20年後には男の3人に1人が、女は4人に1人が生涯独身で人生を終えるという。
少子高齢化の加速は必至だが、医療費や生活保護費などの増加が懸念され日本の
国民の今の生活レベルの維持が難しくなる。家族制度の崩壊はもとより将来病気に
罹れば誰もが医療の恩恵を受けられないし生活に困れば助けてくれる制度も無くなる。
将来を思えば自らがしっかりしないと惨めなものになる。青春を無駄にしてはいけない。
一昔前の日本は「家」を守る見地から家と家の親同士が結婚相手を決め、当人たちも
素直に従ったものだが既にそれはない。子供の頃に小学校で教わった日本の人口は
今の領土に換算すると約6000万人だったが、その分、自然が手近にいっぱいあった。
今の約1億2000万人は日本が窮屈すぎる。「絶食系」の人口減少は良い意味での
自然淘汰なのだろうか。日本の将来の幸不幸は今の若者に託されている。