隠居の独り言(1223)

友人は現在メキシコの各地の旅をしている。若い頃、赴任先だったメキシコに長年に
過ごされたので友達や姻戚・知人も多く、旅といっても普通の観光旅行と違い友人は
故郷に帰った気分の楽しいセンチメンタルジャーニーだろう。友人から、時々旅先の
住民の暮らしの様子や自然の景色、街の風景などPCで写真を頂くがリアルタイムで
しかも鮮明に写っているのには驚きだ。メキシコシティは大都会で高層ビルが林立し
景色は東京と殆ど変わらないが、でも何となくアメリカ大陸の大らかな明るさが漂う。
興味をそそるのは一般の家の庭にバナナやサボテンが植えられメキシコならではの
風景に見入ってしまう。写真は数々メキシコ料理が写っているので料理上手な友人に
詳しく説明を聞いた。メキシコの食事のメインは昼食で時間をかけ、ゆったりと食べる。
まず柑橘類で割ったテキーラ、ビールから飲み始める。メキシコ料理の主なる食材は、
トウモロコシの粉で作るトルティージャと60種類以上の唐辛子。2つを組み合わせて、
実に様々な料理が生まれ創意工夫の能力に脱帽だそうだ。一番代表的な食べ方は、
日本でも良く知られた、タコス。蒸した鶏肉を裂いたもの、肉のほそ切り、線切りレタス、
炒めたキノコ類、輪切りのラディッシュなどの皿がテーブルに並べられ、熱々のトルテ
ィージャの上に好みのものを乗せトマト、玉ねぎ、香草、唐辛子を刻んで作ったそれぞ
れの家庭の味のソースをかけ、くるくると巻いて頬張る。いわば日本の手巻き寿司の
メキシコ版のようなものだろう。トルティージャをトーストして、カリカリのおせんべいの
ようなものに具材を乗せソースをかけたものがトスターダで、その他、チーズを入れた
タコスを揚げたものがケサディージャで熱々が人気。ビールのつまみにぴったりとか・
種類と量は想像以上のメキシコ人の旺盛な食欲だそうだ。食事後は甘いデザートと
珈琲で終わりとなるがデザートのボリュームにも写真を見るだけでお腹が一杯になる。
大地は果てしなくトウモロコシ畑が続くがそれでも足りず米国から輸入しているという。
お客様を招待してBuen provecho !!(どうぞ召し上がれ)健啖家のメキシコ人は食事と
お喋りに時間を掛け人生を楽しんでいるというがコセコセした日本と生活が大違いだ。
マリアッチの演奏の姿の写真を見ると声高らかに彼らの歌声が聴こえてくる気がする。
居ながらに彼の地を見せて下さる友人に感謝だが、本当は自分がメキシコを旅したい。
メキシコには砂漠地帯や青い海岸の大自然景勝地が数限りなく、古代文明遺跡の
魅力を探るには時間が幾らあっても足りないだろう。そしてなによりラテン音楽好きの
自分もマリアッチをバックに歌を歌ってみたい。「ある恋の物語」や「君偲ぶ夜」などを
日本語の歌詞で歌ったら気持ちがいいだろうなぁ・・マリアッチはどんな顔をするだろう。
友人から送られてきた写真とメールを見ながら気持ちはメキシコに飛んでいた。