隠居の独り言(1232)

今年も残すところあと10日余、テレビを見ているとインタビュアーが歳末の街の人に
「この正月は何連休ですか」「お休みはどこへ行かれますか」続いてインタビュアーは
「年末年始の混雑の見通しは、帰省ラッシュは28日がピークになりそうです。最大で
9連休の人もいて鉄道や空の便は例年以上に混雑しそうです」今時のマスメディアは
年末年始の報道で賑やかだが、それを横目に恨めしそうに働いている人も大勢いる。
サービス産業や季節物を扱う中小企業は、この時期一番の忙しさにてんてこ舞いだ。
その昔、帽子屋に小僧をした少年は大晦日の故郷に帰る最終列車の時間まで働いて
1月3日の朝までの1泊2夜行の帰省強行軍だったが若かったからこそ出来たので
今では孫に話をしても信用してくれない。あの頃はどこの商店街も年末が最繁忙期で
日本橋の問屋街は地方からの小売屋の仕入れ客で年末が最高のかき入れ時だった。
女の人も忙しく正月用のおせちの用意、買い出し、大掃除など猫の手も借りたかった。
今に思えば日本中が忙しく何もかも自らの手だけが頼りだった。今では自動掃除機、
ネット買い物、おせちは注文、等々、最近のヤマノカミ様たちは暇をもてあましている。
再来年に消費税が上がるというので駆け込み需要のせいか家を新築する人が多くて
近くの工務店では嬉しい悲鳴をこぼしていた。自衛隊、警察、消防、東京電力関係者、
その他諸々の、いつ起きるか知れない危険と向き合っている人には正月どころでない。
この年にして民主主義の有り難さが身に沁みるし日本は実にいい国家とつくづく思う。
隣の北朝鮮は今までのナンバー2政治家を即死刑の血の粛清をする恐ろしい国だが
国の正式名は朝鮮民主主義人民共和国という。どこが民主主義なのか訳分からない。
中国も中華人民共和国と言いながら、その主役は人民でなく中国共産党員と同じだ。
日本人の素晴らしいのは、先の東日本大地震直後の略奪、放火、騒擾などの被害は
皆無といってよかった。あの民主主義本家のアメリカでさえロス大地震の時は略奪や
放火が相次いだ。その他の国でも大きな災害があると大げさに泣き叫んでものを乞う。
略奪は茶飯事で支援物資が着くや我先に掴み合い罵り合う。戦後の飢えに苦しんだ
あの頃だって日本人は少しの配給品を行儀よく並んでいた。世界は195カ国あるが
日本人に生まれた幸せは、信頼に足る一億2000万人の同胞を持てたことと思う。