隠居の独り言(1239)

待つというのは辛いものだ。先日の某新聞の平成川柳で、こんな作品が目にとまった。
「ふみ(文)を待つ「一日千秋」死語となり」 現代のようにネットなど無かった時代には
用を伝えるのは手紙が主な伝達手段だった。ネット社会に生きる今では「待つ」という
時の停滞を人は我慢できなくなっている。俳人斎藤茂吉が年若い頃、恋人に宛てた
ラブレターに「お手紙いま頂きました。実に一日千秋の思いですから三日間の忍耐は
三千秋ではありませんか(中略)ふさ子さんどうか、お願いだからハガキでもください」
ハガキだと短文だから一刻も早く意思の疎通が伝わるだろうという焦る恋の気持ちは
切ないが「待つ」という忍耐と想像する心的能力は向上する。現代のようにニュースが
瞬時に伝わる時代では短時間で成果が求められ、一日どころか一時間も一分だって
待てない社会になってしまった。哲学者・鷲田清一の著書「待つということ」の一節に
「意のままにならないもの、どうしようもないもの、じっとしているしかないもの、
そういうものへの感受性をわたしたちは、いつか無くしたのだろうか・」前置きは、さておき
今回カルテット花火が挑戦したNHK「熱血オヤジバトル」は充分過ぎる程、待たされた。
まず書類・テープ審査が一ヶ月、ネット投票が約一ヶ月、投票からNHK推薦まで半月、
この二ヶ月半の待ちの結果が、NHK審査で落選の憂き目!でもここで気落ちしない!
残りはワイルドカード投票で、みなさまのご支援を得ながら、ネット投票の結果を待つ。
後はやきもきしながら結果を待たされる気分はやるせないが不死鳥のように蘇りたい。
今は受験シーズンだが合格発表日まで、どんなに気を病むか学生の気持ちが分かる。
音楽の演奏というのは数字で表せられるものでなく、聴く人の感性だから演奏評価は
即判断できるのに発表までの間が、なぜ遅いのか、それはNHKというマスメディアの
視聴率を考えた工作としか思えないし、といってNHK審査に対して「恨みつらみ」はなく
待たされたことで「カルテット花火」は大いに宣伝され、それを知った友人・知人たちが
「凄いなぁ、羨ましいなぁ、ラテンはいいねぇ、模範だねぇ」等、褒めそやされたことは
嬉しいかぎりで「待つ」ことの意義と、人生で二度とない価値ある体験をできたことは
NHKのおかげであり、ご支援くださったみなさま方に心より感謝の一言を申し上げます。
そして心苦しいですが、今一度、ワイルドカードのチャンスをくださいませ。
http://www.nhk.or.jp/oyaji/