隠居の独り言(1278)

五月に入った。テレビの天気予報を見れば五月初旬は「晴れマーク」が続いている。
この季節「五月晴れ」と書いてサツキバレと読むかゴガツバレと読むか、好きずきだが
鮮やかな新緑はいよいよまぶしく日本列島は一年で一番の美しい季節を迎えている。
詩人・佐藤春夫は「ふるさとの野辺の五月に咲く花の白きよりなほなつかしきかな」と
詠ったが、よほどこの季節が好きだったのだろう。自分も春夫同様今の季節が一番だ。
閑話休題。自分も歳をとったなぁ・・と、それは誰も身体能力の衰えを感じたときだろう。
我が家は駅から6-7分の位置にあるが早足で歩くと1分位は縮めて5分で駅に着く。
でもいつの日か、後ろからきた人に追い越される場合が多くなった。衰えは悔しいが
歩くのろさを実感する気分は何とも云えぬ寂しさが付きまとう。数年前まで通勤時は
車を運転していたが健康のため電車通勤に切り替え超満員の人混み電車に揺られ
小一時間の足腰の運動をしている。駅のエレベーターやエスカレーターは使わずに
昇り降りする。最初のころは階段を一段飛ばしで登るのが自慢だったが歳は争えない。
最近は階段の普通の昇り降りだけで息が切れるようになった。医者に駆けつけたら
心房細動という不整脈と診断され過激な運動は控えるよう注意を受けた。不整脈
脳梗塞の原因にもなるそうできちんと治療を受けなさいと・・・健康自慢が一瞬にして
自信が吹っ飛んでしまった。心臓に毛が生えている方なら気にしないだろうが小心者は
ますます心臓が弱くなる。考えてみれば機械だって長期間を使っていれば故障する。
人間という精密機械はうまく出来ているはずだが長く酷使すれば悪くなって当り前だ。
昨年80歳でエベレスト登頂に成功した三浦雄一郎氏は不整脈の治療を受けながら
成し遂げた。世紀の偉業に頭が下がると共に同病に悩む患者には素晴らしい朗報だ。
俗に一病息災という。元気自慢の人よりもひとつやふたつ持病があるほうが健康に
気を配りかえって長生きするということだろう。生涯に亘り健康だとイキがってみても、
そうは問屋が卸さない。毎日の暮らしのなかで、つくづく老いを感ずるようになるのは
やはり体力の衰えだろう。歳を取ると年月の流れが早いと感じるように体の老朽化の
進み方も早くなるのも実感する。80年余の人生を振り返り大半が商いの時間だった。
商いというのは相手あっての仕事でコマギレにすれば、その場シノギ、一寸シノギ
綱渡り的な80年余を生きてきた。ここで神さまが、お前もこれからのんびりしなさいと
仰せになっている気がする・・・ GWにつき、しばらくブログを休みます。