隠居の独り言(1781)

今年は日清戦争から120年にあたる。そして第一次世界大戦開戦から100年目に
あたる年だ。バルカン半島サラエボで、某セルビア人がオーストリア皇太子夫妻を
暗殺して始まった戦争は瞬く間に関係国が参戦してドイツ、オーストリアハンガリー
オスマントルコを中心とした同盟軍とイギリス、フランス、ロシアを中心とする連合軍に
分かれ戦った。世界30数カ国が参戦したが4年余りに及んだ史上初の世界大戦は
1500万人以上の犠牲者を出し参戦した国々全てに大きな政治の変化をもたらした。
当時日本はイギリスと同盟関係であったため連合軍に付いたが、イギリスから日本の
陸軍の参戦要請があったが応じず、地中海へ数隻の駆逐艦派遣や、頼まれもしない
中国・青島のドイツ軍を攻撃し顰蹙をかったが実際にヨーロッパ戦線に行っていない。
当時の戦場は騎馬が戦車に変わり、艦船は石炭から石油になっていた。近代兵器の
進歩を知ろうとしなかったのが後の技術振興に遅れをとっていく。それでも連合軍側と
集団的自衛権を有していたので後にドイツが領有していた南洋群島委任統治権の
土産を頂いた。当時の日本は同盟国にけっして精一杯の努力を尽くしたと言えないが、
果たして後に日英同盟が破棄されてしまう。同盟国への誠意が見られなかったのが
致命的だった。後悔するのは、その時の日英同盟の破棄が奈落の道への一歩だった。
一世紀が経って現在の東南アジア情勢は第一次大戦前のバルカン半島に似ている。
当時、超大国だったオーストリアハンガリー帝国の覇権主義から起きた戦争のように、
現代の超大国・中国は西沙・南シナ海を強引に自国の領海に併合しようとしている。
何か突発的な事で戦争に発展してしまう可能性がある。折しも開会されていた
ASEAN加盟国は当然に中国に対して抗議したが聞く耳を持たない。南シナ海の次は、
東シナ海の我が国固有の尖閣諸島に刃を向けてくるのは必至の情勢と覚悟をしよう。
アメリカは尖閣の防衛は安保の範囲だと言ってくれてはいるがあてにしてはならない。
アメリカ軍が中国軍に襲われても、日米が互いに集団的自衛権がなければ自衛隊
何もすることができない。同盟関係とは両国が互いに助け合うことで片方が攻撃され
片方が傍観だけでは同盟関係とはいえない。与党もこんな緊急の情勢なのに未だに
集団的自衛権云々の話しをしている場合なのか。日本一国で大国相手に戦えるなら
日米安保も要らないが、その覚悟もなく反対意見を言う人の気持ちが分らない。