隠居の独り言(1298)

日本人の美徳の一つに「水に流す」がある。過ぎたことをいつまで悔やんでいないで
過去を忘れて未来のステップに進みたい気持ちは日本人が持つ強さと優しさだと思う。
無論、日本人でもそんな人ばかりでなく、いつまでも拘わり続ける人もいるのも事実だ。
暑い時期だが、この暑さの中で中東のイラクではイスラム教のスンニ派とシーハ派の
内戦で毎日にように戦闘やテロで大勢の人が命を落としていく。以前にはアメリカが
介入していたが撤退しても状況は同じで、宗教間、民族間の争いは終わりを知らない。
周知の通りイスラム教は一神教で基本信仰箇条である「アッラーの他に神は無し」
ムハンマドアッラー使徒なり」については同じ信条が、スンニとシーハの違いは
預言者の後継者の資格についての考えの違いから宗派が分かれ、殺しあいが続くが
日本人のように過去の事は水に流せない。戦争までして争う宗教の怖さがここにある。
アメリカ大統領の宣誓式で新大統領が聖書に誓う場面が映されるが民主主義国家の
アメリカでさえ宗教心の根本から抜け出せない。アメリカではキリスト教がベースだが
何も他国のイスラムの戦争に介入する必要があるのだろうか。本来なら内政干渉
イスラムとなると、やたら躍起となる「世界の警察官」を自負する気持ちが分からない。
宗教戦争の、どちらが正しいか間違っているかの解答は無いので放っておけばいい。
厄介なのは宗教が自我の代用品になって思考し、狐が憑いたように盲信することだ。
日韓問題もそうで韓国人には「恨」という概念があって日本の植民地支配だけでなく
400年も昔の豊臣秀吉朝鮮出兵まで及ぶ。その概念からいえば「シベリア抑留」や
「広島・長崎の原爆」を日本人が水に流しているのを韓国人には理解できないらしい。
だから日韓で過去を水に流すのは不可能だ。戦争はスポーツと違い審判役がいない。
イスラム諸国が混乱し、その隙にロシアはクリミアを勝手に自国編入しレッドカードを
突きつけられる心配がなくなった中国は、南シナ海尖閣付近で盛んにラフプレーを
繰り返している。たとえば自衛隊機に異常接近が相次ぐ行為は不測の事態で戦端を
開きたがっているとしか思えない。つまり中国は日中国交正常化条約を結んでいても、
けっして昔のことを水に流していない証拠だ。今の世界情勢は中東に、東南アジアに
先の世界大戦直前の様相を呈している。アメリカは既に「世界の警察官」のバッジを
返上してしまったが、同盟国と付き合う以上は日本一国でも戦う装備と勇気が必要だ。
平和ボケしてしまった日本人よ。目を覚まして欲しい。