隠居の独り言(1321)

原発問題になると世間は原発反対が正義の味方のような風潮になっている。福島の
東電原発事故は確かに取り返しのつかない大失敗だったがそれだからって日本から
原発を無くそうという案に何故か素直になれない。理由は二つ、一つ目は今の段階で
原子力に勝るエネルギーが見当たらない。周知通り電気は貯蔵することが出来ない。
したがって事故以前の電力事情は、夜は原発を基準に電気を使う昼間は火力発電や
水力などで賄った。原発中止の今は火力発電所で火力を燃し続けなければならない。
当然に火力発電に使う液化天然ガスの輸入が増えその金額は年間7-8兆円に上る。
かたや福島原発事故処理の費用は保証、廃炉を含め、年間2兆数千億円というから
計算上からすれば原発稼働が得にきまっている。それにより電気料金が安くなれば
一般家庭の生活費はもとより、日本経済にもたらす効果は計り知れないものがある。
たしかに日本は地震列島で殆どの地域で活断層ができている。地震は避けられない。
といって年中大地震が起きているわけではない。地底の深い断層が動くことによって
地震が起きるが、一旦大地震があると、しばらく断層は収まってしばらくおとなしくなる。
つまり地震の周期で、例えば今回のM9東日本大地震は2011年、その前に起きた
M8三陸地震は1933年、明治に起きたM8三陸地震は1896年、と周期的には
40年から80年間に地震が発生する間隔になっている。それは三陸地震に限らず
日本列島どこも条件は同じだ。それなら活断層が休息のときに原発稼働すればいい。
今回なら三陸沖周辺の原発を30年限定で稼働し、しばらく止めて次の地震に備える。
現在は南海トラフ巨大地震が近いという。だから本州四国九州の太平洋側の原発
しばし休んでいたほうがいいだろう。その間、東日本、日本海側の原発を使えばいい。
無論、原発安全基準は重要だが最初から原発反対ありき、の工夫のなさが情けない。
大規模地震のメカニズムは一旦収まればしばらくの間、次の発生まで時間がかかる。
要は地震国だから日本なりに原発稼働の時期や使い方を工面すれば済む話と思う。
二つ目は世界の発電の流れが原発依存になっていることだ。残念ながら今の技術の
電力では太陽や風力ぐらいでは需要に追いつかない。産油国アラブ諸国もいずれ
石油枯渇を見越して原発の推進をしている。日本の原発技術は世界のトップクラスで
日立、東芝、三菱あたりが頑張っている。もし日本が原発を中止してしまえば若者の
技術離れに拍車に掛かりそれは日本のみならず世界の損失であることを知るべきだ。
原発を考えるとき地球俯瞰で取り組もう。蟻の目でなく鷹の目で世界観を見て欲しい。
人類は数々の失敗を乗り越え現代の繁栄を知った。発展を止めてはならない。