隠居の独り言(1364)

まもなく2月7日の「北方領土の日」がくる。平成の若い人には北方領土への思いが
あまりないが自分が12歳の終戦の日までは南樺太、千島列島は日本の固有領土で
学校の教科書に赤くきちんと塗られた日本の一部であった。戦争に負けるというのは
実に惨めなもので理不尽にもこれまで住んでいた土地を追い出され着の身着のまま
逃げるしかない。漁場の豊かな千島列島とりわけ択捉、国後、色丹等の北方四島
江戸時代から多くの日本人が暮らし、恵まれた海の幸で穏やかな生活が続いていた。
そんな平穏な島の暮らしに突然襲いかかった悲劇に言葉はないが悪夢は未だに続く。
戦前まで日本が領有していた朝鮮半島、台湾、南樺太、千島列島、南洋群島それに
満州国に住んでいた人々は気の毒にも土地の全てと財産の殆どを奪われ、捨てられ
日本本土に帰らざるを得なかった。とくに酷かったのはソ連が関連する満州をはじめ
千島列島、南樺太で、それまでソ連と不可侵条約が出来ていたにも関わらずソ連
約束を破り、広島に原爆が投下された直後、日本が息の根が止まる寸前の1945年
8月8日に満州の国境線に怒涛のごとく侵入し、日本の民間人に対して殺戮、強奪、
強姦などを繰り返し挙げ句、日本兵50万人をシベリアに連行して強制労働をさせた。
千島や樺太は日本が無条件降伏した後の8月19日から侵入したのは国際法的にも
許せないし、その行為に抗議もせず見過ごしたアメリカ始め連合国側も日本を貶めた。
先の大戦は白人社会の欧米諸国からみて日本は有色人種たるアジア・アフリカでの
生意気な奴と憎まれ蔑まれ徹底に破壊された。20世紀前半までは白人諸国による
植民地時代で有色人種は哀れを極めたが反抗のために欧米と戦ったA・A国は無い。
今のアラブの紛争も国境線は白人諸国が決めたもので宗教、人種を無視されている。
そして権力の遠い者から不幸が訪れ、イスラムの貧困も自爆者も遠因は植民主義だ。
話を変える。「北方領土の日」は1855年の、この日に現在の静岡県下田市において
日露通好条約が調印された日で条約は日本とロシアで通商を開くとともに平和的な
話し合いによって両国の国境を択捉島とウルップ島の間と定めたもので、これにより
択捉島国後島色丹島及び歯舞群島北方四島は、日本の領土と国際的に確定し、
これ以後は戦争で日露国境は何度か変わったが北方四島は一貫して日本の領土だ。
ロシアは不法占拠と知りながら戦争の勝利品として北方四島を日本に返そうとしない。
今のロシアは原油暴落とクリミア占拠の影響で経済に困っているらしく何かと日本に
色目を使うが、こんな時こそ相手のペースに嵌らず領土問題をしっかり決めて欲しい。