隠居の独り言(1369)

多かれ少なかれ財産を持つ人の基本的理念は資産を三等分するのが理想とされる。
預貯金、不動産、株式の三つだが、そのどれか一つで生涯暮らせれば万々歳だろう。
世の中、どんな変化しても財産は確実に持ちたい。それは言うは易し行いは難しだが、
それには資産を分散して分けることが大事だ。昭和初期に起きた世界大恐慌で地価や、
株価が暴落、戦中戦後の超インフレ、国債や預貯金の凍結など、過去の経済状態を
遡っても個人の資産なんて実に脆いものと痛感する。それでも財産の防御は必要だ。
三つの中でも金銭債権、不動産は成り行き任せだが、株式は難しい。しかし株売買は
会社の経営、日本の経済、世界の情勢まで影響があるので頭の体操にもってこいだ。
新聞の経済欄に目に走るのも世の中の仕組みや流れを知るためで株の効用抜群だ。
銀行に定期預金しても利息は雀の涙にもならないし、不動産も昔の上昇は望めない。
そのうえ相続税基礎控除額が下がったので、株式保有が税務対策にも最適と思う。
2年前までは日本がデフレで会社の業績も悪く低迷が続いたが自民党政権になって
塩漬けしていた保有株も息を吹き返し、買い替えや新規株でおこぼれに預かっている。
株には上昇、配当金、株主優待など楽しみも多いがこれからとなると「神のみぞ知る」
で分からない。日経平均株価が、14年9カ月ぶりに1万8500円台を回復しているが
まだまだ上がるという強気の見方がある一方、高すぎるのではないかという声もある。
日本株がどの程度が適正水準なのか。それが分かれば苦労はないが統計学もある。
3月期の決算は増益を見込む企業が多く、2015年3月期のEPS(1株当たり利益)が
1200円、2016年3月期のEPSが1300円ならば将来的に理論上の株価は3万円以上も
夢じゃない。経済環境が大きく変わらなければ、株価はまだまだ上昇するという
解釈が成立する。近未来の景気次第だが、このところ以前よりも生活が苦しいと
感じる人たちも多く株価に上昇の余地があるといわれても日々の生活にピンとこない。
例えばトヨタは営業利益3兆円が視野に入って史上空前の利益を上げようとしている。
しかしトヨタが儲かるのは経済が絶好調な米国で多数の自動車を販売しているからで
日本の景気が良くなっているからでない。生活実感と株価のギャップが難しくしている。
話は戻るが実際、株売買というのは難しい。自分の株の基本は資産として保有する。
配当は旅に使う、株主優待を楽しむ、儲かれば家族で分配する。日々の上げ下げに
一喜一憂することなく長期に亘り保有し、いつか目標値に上昇したら売りにかける。
損をすることもあるが、楽しみながらの株の売買はボケ予防にも最適と感じている。