隠居の独り言(1388)

今年も「憲法記念日」がやってくる。終戦から7年後、昭和27年4月28日(1952)に
サンフランシスコ平和条約が発効し、連合国から日本が主権を回復して63年が経つ。
そもそも平和条約とは、戦争という二つの敵対する勢力(国家・国民)が紛争をやめる
公式な終結を合意するものだ。先の大戦においては、負けた枢軸軍(日本とドイツ)が
勝った連合軍に対して謝罪や賠償の取り決めをし、この日をもってこれまでの戦争を
決着し精算したとの条約だ。つまり63年前に戦争終結を双方が宣言したことになる。
いまなお中韓歴史認識云々というが、それならば条約以前に異を唱えるべきであり
条約は何のためにあるのか国際条約の意義と責任を認識してから言ってもらいたい。
当たり前の話だが戦争被害の決着をあれこれ蒸し返すことは国家間の決着を無視し
国際法上の正義に反する。このほど安倍首相はアメリカ上下両院議会で演説をした。
日本の首相として初めての演説だったがスタンディングオベーションが10回以上あり
概ね好評だったようだ。でも中には侵略戦争の反省が足りないと批判の議員もいるが
何事も100%はありえない。今は安倍首相のパフォーマンスの熱意の拍手を送りたい。
憲法に話を戻す。言うまでもなく今の憲法は戦後、日本が二度と立ち上がれないよう
占領軍が作った憲法であり、日本が主権回復したなら現憲法に束縛される謂れない。
どの国の憲法も国家の基本であり、日本国憲法は日本人が作成するのが当たり前だ。
「陸海空軍その他の戦力は保持しない。国の交戦権はこれを認めない」9条の文だが
それでは某国ミサイルが東京を襲来しても新幹線がテロで破壊されても何もできない。
今、自衛隊は国防上からも自然災害からも重要な役割を果たしている。軍隊保持を
禁止した憲法9条は矛盾に満ちているが、主権回復から半世紀以上も過ぎ今更だが
憲法にきちんと自衛隊を明記するべきだし、他国からとやかく言われる筋合いはない。
それとこの時期になると護憲派改憲派が入り乱れて自己主張をするけれど、実際に
彼らが憲法を読んだのか疑わしい。憲法全文百三条を読むには相当な時間を要する。
しかも読みにくいし聞いてもわからない箇所が随所に出てくる。前文「自由のもたらす
恵沢(けいたく)を確保し・・」9条「国際平和を誠実に希求(ききゅう)し・・」一二例だが
普通の言語生活のなかには無く、憲法の文章は誰が読んでも分かりやすいのがいい。
例えば聖徳太子の十七条憲法明治憲法の精神的な基盤になった五箇条の御誓文
文章は省くが、とても簡素で美しい。だらだらと時間ばかりをかけ文面が訳も分からず
耳で聞いても分からない憲法は失格だ。必要な部分だけ記すのが憲法の基本と思う。
出来れば憲法全文をきちんとした文章にして学校の国語の教材にするのが望ましい。
護憲、改憲を問わず、誰もが愛せる素敵な憲法を日本人自ら作りたい。