隠居の独り言(1399)

歯に衣着せぬ物言いで雑誌やテレビなどで活躍するコラムニストの勝谷誠彦さんが
うつ病」であることを自らのブログで告白された。「この病気が恥ということではない。
同病の方々のためにまずはそれを言っておく。ただし、それでヨボヨボしていて仕事に
齟齬をきたしている自分という存在は恥ずかしいし迷惑をかけてはいる。鬱病になって
しまった。こういうことを書けるというのは「病識がある」といって、まだいい方だ」と
綴られてある。自分の周りにも「うつ」になっている人が多いが実は自分も経験がある。
一昨年のこと不整脈でかかりつけ医から紹介され大学病院で精密検査を受けたとき、
CT検査で予期しない胸部動脈瘤が発見された。そのときのCT担当医の診断では早急に
手術の必要ありとのこと・・気の小さい自分はショックで居ても立ってもいられなかった。
人生の終わりだ。人にいくら強がっていても自分の病となると弱いもの、それから以後、
食欲はなくなり、眠れなくなり、無気力になり、何かをしようという気なく、自律神経の
乱れで顔の筋肉が痙攣する。気分重く、仕事の責任感なく、人生のピリオド打ちたい。
仕事も趣味も何もかもやる気が失せ、かかりつけ医に検査結果もうまく言えなかった。
医師は自分を診て「うつ」の初期ではないかと「心療内科」を紹介されたが、精神的な
病気だけに誰に言えず悶々としていた自分だったが、とりあえず様子見のことだった。
「うつ」は何かのきっかけで誰にもなる病気と知った。性別や年齢も関係ないことを・・
子供の受験期にも、人間関係にも、環境の変化にも、それも、突然くる現実を知った。
「うつ」は一般に気分の障害で大抵、反復性があり回復するのが可能と考えられるが
治るには環境的な影響が大きいと思う。自分は二ヵ月後の検診説明で胸部動脈瘤
そんな怖いものでなく、むしろ血管検査で発見されたのが良かったとの診断で、その
安心感からか「うつ」は嘘のように治ったが、脳神経がこれほどまで体に影響するとは
これまでの考えが飛んだ。あの時、家族や仕事関係の人達の励ましが何よりの薬で
思えば完治したのも周りの優しさのおかげと感謝してもしきれない。今、近い親族が
「うつ」で苦しんでいる。自分が親族と話していてもいつも気が沈んだ状態で「このまま
消えてしまいたい、死にたい」と漏らすことが多い。悩み苦しむ姿は見ていられない。
自分の経験から出来るだけ接触し元気づける。当人にとっての楽しい話題が一番で
接触と会話と優しさが何よりの処方箋であるのに違いない。当人をひとりにしないこと、
いつも話しかけること、優しさを絶やさないこと、生きがいの再発見できれば御の字だ。
「うつ」は必ず治る病気だと信じている。世間のストレスの蓄積、高齢化が拍車をかけ
これから「うつ」や「認知症」の患者が増えることは必至だ。誰も他人事でない。