隠居の独り言(1419)

夏が来れば思い出す。其の十一。日本の戦後70年とは良くも悪くも「戦争を知らない」
「一国平和主義」の70年だったと言える。終戦の時の1945年の70年前の1875年は
西南戦争の兆しが見えた年であったことを考えれば、前の70年までの日本は戦争に
明け暮れた明治・大正・昭和の時代であったことに比べ、あまりにも対照的な史実だ。
戦後70年というのは単なる数字のメルクマールに過ぎないが戦争を経験した人には
飢餓からの出発の苦労は生涯忘れえぬ心の刺青のように子や孫に経験させたくない。
でも平和の有り難さは戦争を体験した人でないと実感がないだろう。戦争を知らずに
今の便利な世間に身を合わせたのは70代後半までで、この辺りは、1-2年違うだけで
戦争の関わりに大きな違いがある。戦争を知らない世代が今後否応なく世界の人と
直接肌を接して生きるのは安倍首相が唱える「積極平和主義」の旗印しかないだろう。
それも「言うは易し行うは難し」で言葉だけの「平和主義」では世界のどこにも通じない。
固有領土を守るにも、輸送中のタンカーを守るにも、誰をアテにしても助けてくれない。
考えれば戦後70年の間、日本ほど平和で人権が守られ民主主義が貫徹され、法律が
行き届いた国は世界にあるだろうか。日本人たるもの、自信と誇りを持っていいと思う。
地球儀を見れば、日本列島の大陸側には中国とロシアの大国が大きく描かれている。
残念ながら二つの隣国は一党独裁的政権国家で一般庶民は自らの意思決定に際し
国民投票という権利がなく、その代換手段として独裁強化という手段が用いられる。
そして国民の意思を政権から外らさせるため、時に隣国に圧力をかけ愛国心を弄ぶ。
ロシアのクリミア侵略がその例であり、中国の南シナ海埋め立てもその例に漏れない。
両国は国連常任理事会メンバーで核兵器を所有しているが、核の使用は人類滅亡に
繋がるので多分ないだろうが、でも核使用を辞せずと他国を脅迫し領土を掠め取った
理不尽は許せない。プーチン習近平も大国を傘に小国を苛める構造は変わらない。
ロシアが北方四島を返還し、中国が尖閣から手を引き、韓国が竹島を返還し、日本は
やっと戦後が終わる。太平洋戦争の終結は、1951年にサンフランシスコ講和条約
結ばれた時点で終ったはずなのに未だ後を引いている。アメリカは戦後委任統治した
奄美群島小笠原諸島沖縄諸島など順次に日本に返還をしたが日本の固有領土を
不法占拠するロシアや韓国は土地を返さないし返す気もないのは国際良識に欠ける。
大西洋憲章」という条約がある。連合国の中心の米英が「戦争で領土拡大しない」と
宣言したもので日本の降伏条件にも大西洋憲章を受け入れている。連合国はこれを
基礎として終戦処理を米英仏蘭など民主主義国家はきちんと履行したが、連合国に
加入しているロシアは国際条約違反そのものだ。日本に不人気な国はロシア中国で
不人気の最大の理由は両国共に「領土不拡大の原則の条約」を守らない国だからだ。
ロシアも連合国の一員なら戦勝国の義務がある。世界はロシアのクリミア不法占拠を
非難するけれども、見方を変えれば北方領土の不法占拠を許したからクリミアがある。