隠居の独り言(1447)

昔から大相撲ファンだが、今年も早いもので九州場所も終盤戦に入り千秋楽も近い。
相撲ファンに悔しいが今場所も3横綱全員、大関筆頭もモンゴル力士が名を連ねる。
これが国技か!2003年、横綱貴乃花が引退し12年間も日本人横綱を見ていない。
体力差とかハングリー精神の欠如とかいうが日本人心身の足腰の強さが無くなった。
今更ながら大相撲は単なる競技スポーツでなく長い歴史伝統を持つ日本の神事で、
単に強弱だけでなく他の格闘技に比べ敵意や残虐性が全くないのが相撲の美学だ。
我が家は両国なので近所に相撲部屋が多く存在し、お相撲さん姿には事欠かないが
力士の一日は早い。朝6時から稽古が始まる。朝起きて洗面し、廻しを締めたりして
稽古時間に備え朝食前に2-3時間の猛烈な稽古をして関取になるのが目標だろう。
新弟子になると、必須の6ヶ月は国技館の相撲教習所に通い徹底的に鍛えられる。
授業は朝7時→9時半までが実技で、実技は四殷、鉄砲、殷割り、すり足、伸脚など
基本を学び、それを繰り返し稽古。学科は10時→11時半まで学ぶ。学科は相撲史、
自然科学、社会、国語、書道、相撲甚句、運動医学など・・講義は全て日本語講座で
たとえ外国人といえども通訳はつかない。それで居眠りでもしようものなら兄弟子から
竹刀を浴衣の首筋に突っ込まれる。外国人力士の日本語のうまいのは普段の生活と
主に教習所で鍛え上げられた結果と言って過言でない。力士がこうして学んだことが
大相撲の美意識、礼節、規範意識の支柱になっている。大相撲1300年の歴史ある角界
「時代の変化」「伝統の保守」という相容れない悩みを抱えながらも続いてきた。
ついでに言えば土俵だって15日間使っただけで壊し次の場所には新しく造り変える。
造るのは40人の「呼び出し」で、築き上げるのも最近の建設機械でなく全て手作業で
道具も昔ながらのモッコやタタキで新しい土を盛り、15尺の土俵の円も7,5尺の縄の
人間コンパスで円を描いて完成させるという。伝統文化にデジタルは寄せ付けない。
奥の深い国技の伝統を時々外国人力士が汚するのはやりきれない。張り手が多い、
負けた相手をダメ押し、注文相撲が多い、勝負に拘る、白鵬など横綱の品位がない。
外国人力士には育った環境が違うので日本の伝統文化を身に知るのは不可能だが、
それにしても、大相撲の心技体の伝統美、様式美と懸離れた力士がいたら日本人、
外国人といえども土俵を去るべきだ。今年も日本人力士に優勝を期待したが無理か。
今場所が終われば師走がやって来る。暦が早すぎる。