隠居の独り言(1454)

最近の政局で自公が食料品の軽減税率について始めは意見の相違があったけれど
協議後に合意したとある。平成29年度の消費税率10%引き上げする時に導入する
食料品の軽減税率のことだが考えれば僅か2%UPで財源1兆円も少なくなるという。
自分は軽減税率に反対だ。今の日本の食糧事情からいって、こんな豊かな食生活で
中には無駄をして、なお税金が高いの、安いのと言っている贅沢にはバチが当たる。
軽減税率に伴う税収の目減りは財政を益々悪化させる危うさを孕んでいる。日本人
全てが周知している天文学的国家財政赤字を少しでも減らそうとするのが政治家の
勤めなのに目前の参院選挙を有利にするために軽減税率云々とは了見が狭すぎる。
そもそも名目は弱者救済というけれど「弱者」の定義はどこからきているのか。年収が
300万円以下というが中には親に扶養してもらい働く意欲もない者もいれば、会社が
嫌で辞めてしまった若者もいる。今の世間に仕事がないはずがなく、中高年も含めて
少しの努力が足りない気がしないわけでない。むろん身体的な理由や、困った個別の
家族の例もあるだろう。それをどこで線引きをするのか。十把一絡げの金額ありきで
弱者を政治家は分かっていない。国債費を減らし財政健全化に向かわなくてならない
時なのに軽減税は逆行する。むしろ消費税を上げることによる食料の無駄、大切さを
説くチャンスに捉えるべきだ。日本の情勢が厳しい今、年金の先行きも不透明な今、
国家予算の4分の1が借金の今、消費税を上げなければ国家の破産が現実なのに
逼迫感がまるで感じられない。欧米のように消費税がいずれ20%以上にならないと
やっていけないことを政治家は承知のはずなのに誰も言い出せない。内閣も勇気を
出して猫に鈴を付けるべきだろう。国家が破産すれば預貯金の円の価値はなくなり、
国を守る自衛隊員や治安を守る警察官の給与も払えないし、公共施設は機能しない。
国債を出来る限り減らし財政健全化に向かわなくてならないのに何が軽減税率だ!
作家・曽野綾子さんは言っている。「今の日本は世界で最も格差の少ない国で庶民が
食べられない人のいない国である。多くの国は乞食が犬を暖房代わりに飼っている。
飼うといっても犬は自分で餌を拾い食べている。貧困な人の定義ははっきりしていて
今日一日食べるものがない人をいう。日本がもしそんな人がいたら行政が即刻、その
苦境を救う豊かな国だ」曽野さんならずとも我々は決して国に甘えてはならないと思う。
食べ物の好き嫌い、肥満体、贅沢、食べ残し、質素を旨とした日本人の美徳はどこへ
消えてしまったのだろう。「米」という字は八十八の長い苦労を経て私達の口に入る。
日本人が民主主義の原則を忘れて「弱者救済」という人道主義なるものは偽善だろう。
食料品2%減税のため様々な経費が掛かり挽いては税金の無駄遣いに繋がることも
計算に入っているだろうか。以前に麻生財務省が軽減税率を「面倒くさい」といったが、
言葉そのものは乱暴でも当たらずも遠からじ、我々世代に使った赤字予算のツケは
後世に残すべきでない。