隠居の独り言(1461)

前項の続き、今更だが今年は申年で、初詣は申を御神体としている日枝神社にした。
日枝神社の、その氏素性は、総本宮比叡山東麓の坂本にある日吉神社で別称は
山王権現で日本全国に約2000社ある日吉・日枝・山王神社総本宮になっている。
伝説では大昔、お釈迦様が前世でサルの姿で説法なさったという伝説があり、それを
はるばるインドから持ち帰った比叡山天台宗の坊主がサルの姿の衣を着たという。
更にややこしいのはなぜ比叡山天台宗の寺が日吉神社にサルが伝えられたのかが
分からない。ここはサルが「山王の使者」であり日枝神社祭礼の山王祭の由縁になる。
昔から日本人には山岳信仰というものがあり、神道も仏教も仲良く共存しているのは
山、海、四季の自然が日本人にとっての根本的な畏敬の対象とされてきたからと思う。
全国には申をご神体の日吉神社が2000もあるというが動物を大切するという伝統は
そもそもお釈迦様がヒンズーの流れから来ていることに関連するのだろう。ちなみに
お稲荷さんも神道的に言えば御神体は[宇迦之御魂神]でキツネはその使いの動物だ。
インドでは牛を神聖な生き物として尊重されているが方やイスラム教では豚を不浄な
動物としているのは人間の思い違いの感じがしてならない。信仰心の薄い日本人は
ヒレのステーキに舌鼓をうち、トンカツを頬張って飯を食う幸せを日々満喫している。
日光東照宮は日吉とは別系統だが、なぜか東照宮の行列に本物のサルも参加した
故事もあり本殿には三猿「見ざる聞かざる言わざる」の彫刻のサルも飾られている。
もちろん自然の猿も大切にされてきた日本人の伝統だろう。しかし「日光サル軍団」の
関係は定かでない。サル廻しは動物虐待の説もあるが、サルも嫌がらず芸が面白い。
伊勢に行くと猿田神社というのがあり神話の世界のアマテラスにこの場所がいいよと
進言し伊勢神宮ができたという伝説があるという。人と猿の関係は実に深遠なものだ。
申は言うまでもなく十二支のひとつだが、我が家には申年は婿殿、孫娘の二人がいる。
20年前の娘の結婚式は日枝神社で挙式したが、申は切って切れない家の宝船だ。
たかが申、されど申。この一年の申年を恙無く過ごしたいと日枝神社にお願いをした。