隠居の独り言(1470)

若い頃からずっと男が女に恋をして全身全霊を捧げるのが「正しい恋」のあり方だと
思っていた。所帯を持ったら男が家族を養うのが甲斐性であり男の美学と思っていた。
でも反面に「色男」とは昔から女に惚れられることが条件で、それは今も続いているが
それで尚、この歳になっても「正しい恋」は男が女に言い寄ってこそ本物と思っている。
人間も生き物の一種だが、生き物のほとんどはオスがメスにラブコールして結ばれる。
昔は男尊女卑の考えで男子は高学年を望めたが女子は花嫁修業が親の希望だった。
Y新聞の「人生相談」に40代の独身男性から「恋愛ができない」とあったが、回答者は
「自分で理想を求めて、それに合った相手を探すのでなく、時には自分を好いてくれる
女性と付き合ってみてはどうでしょう」との返答に、ふと憑き物が落ちたような気がした。
そりゃそうだ。男と女の関係は何も男からだけでなく女の方からラブコールがあっても
決して間違いでなく、むしろその方が男にとって幸せではないか。以前に読んだ本で
「向こうから惚れてくる女をつかまえて果てしなく我が儘を言うのが男の幸」とあったが
それでも惚れてくる女をつかまえるのは悪いことで男の風上に置けないと思っていた。
でも今は違う。つかまえることに合点だ。そりゃそうだ(2)今、合点しても遅すぎるが・・
今に思えば若い頃の思い込みというのは狭量で例え間違っていても一直線に向かう。
若い頃はたくさんの選択肢がありチャンスもあったのに固執した思いは変えなかった。
それが若さというものだろう。青春時代の出来事の苦い後悔と懐かしさが込み上げる。
現代は女性の進出が著しい。現実に我が帽子産業でも製品をデザインし作り上げて
販売する経路も殆どが女性なくしては成り立たない。女性の感性は素敵で鮮やかで
堅苦しい男の及ぶところでない。例えば、骨董集めやマニアックな人の殆どは男性で
物事の拘りや頑固さは男の特徴で自由な発想点にかけては女性心理には敵わない。
これからの時代、社会全体に女性の参画が進むなかで政治参加も増えていくだろう。
女性総理も現実味を帯びる。やっと「正しい恋のあり方」の呪縛から解けた気がする。