隠居の独り言(1476)

認知症患者が徘徊中に電車にはねられ死亡した事故で家族が鉄道会社に対しての
賠償責任を問う裁判で賠償責任ないとの判決はほっとする反面、自分が老人として
他人事でなく、いつ我が身にも降りかかってくるのか、身につまされるニュースだった。
電車事故のような大きなものでなくても自動車や自転車、その他諸々の小さな事故は
いま現在もあちこちで数知れぬ発生しているだろう。高齢者が益々多くなる昨今には
事故が増えることがあっても減ることはない。だから今回の判決は鉄道会社も国民も
一緒になって構造的なことから考えないと解決は困難だろう。老々介護が当たり前の
時代だから想定外も許されない。我が老夫婦も83歳と77歳、介護は他人事でない。
昔は姥捨て山だったが姥捨て公園を作って安全な老人専用の遊ぶ場所を提案したい。
でもどんないい政策を練っても少子高齢社会は確実にやってくる。そんな風潮なのに
新しい新幹線やリニアモーターカーの高速の乗り物を作って何になるというのだろう。
速くなくていい。ゆっくりと老後を過ごせる国にしてほしいと願うのは自分だけだろうか。


このほど発表された昨年10月の国税調査の速報値では日本の人口が5年前より
95万人減って国勢調査以来初めての人口減になったという。少子高齢化の進行で
死亡数が大幅に増え自然減が拡大したとみられる。現在人口1億2700万人だが
200年後には10分の1の1400万人、300年後は450万人になり、そして400年後に
日本人が絶滅する計算だ。人が少なくなれば社会環境が縮んで人は住みにくくなる。
誰にも分かる理屈だが初期の病気のように自覚症状が無いから深刻さが分からない。
現に年金・医療の負担のため年々一兆円の自然増が続き、老人の増加で加速度が
止まらない。消費税UPを含め増税しないとやっていけないと分かっても党利党略の
ため先送りする政治もいけない。少子高齢化で国防や防災にも影響するのは必須で
警察、防衛、消防の分野も若者が少なくなって来たる災害に対処できなくなっている。
年金額を一本化しよう。医療制度の無駄を省こう。退職を見直して働ける人は働こう。
政府も国家に携わるあらゆるものを再点検して財政のムダを見つけてほしい。中には
人口減少で外国人移民の案もあるが自分は反対だ。最近の欧米の移民でそれぞれ
国家の質が下がったことを考えてみるといい。自分が育った戦前戦中の頃の日本の
総人口は一億人といわれた。植民地も入っていたから実質には5-6000万人くらいだ。
当時は自然が豊かで山も海も美しかった。童謡の「故郷」の歌詞のように、兎追いし、
かの山が日本の自然だった。春は百花繚乱で彩り、夏は蝶や蛍が舞い、秋は紅葉が
山を覆っていた。そんな日本に戻りたい。物は質素でも心豊かな日本人は素晴らしい
環境で育った。人口が減るということは決してマイナス面ばかりでなくプラスの部分が
数え切れない。百年後には我々はいないが後世の人たちに美しい日本を伝えたい。