隠居の独り言(1481)

先日、山の神と銀座を歩いていたら芸能人のCMの大きなポスターの前で「女優って
どうしてこんなに肌が綺麗なんだろう。こんな大きなポスター写真なのにシミ、シワの
ひとつないよ」自分は思わず笑ってしまう。「こんなのパソコンの処理に決まっている。
人の動きや風景だって大抵のことが出来るのだから顔のシミなんてアッという間だよ」
何も知らずにテレビを見ている山の神始め近所の奥方は鮮明な画像に騙されている。
明治に「文明開化」という言葉があったが今まさに第二の文明開化期を突進している。
だから戦前戦中生まれの人は現代社会に付いていけない。特にネットはお手上げだ。
話のついでにテレビに出てくる歌手の歯の美しさはピカピカでしかも歯並びが綺麗だ。
先日ギター仲間の歯医者氏から聞いた話。「テレビに出てくるような人の歯は大抵が
差し歯で、中には子供のころから矯正している人もいるけれど、差し歯がてっとり早い」
「でも歯茎は色が黒くならないかなぁ」「差し歯で歯茎の色が黒ずむなんて昔の話です」
と一笑された。でもこれは保険が利かなくて相当な治療代が掛かるそうなのでやめた。
82歳の自分の歯は現在20本、部分入れ歯で補っているがブリッジの金属が気になる。
でも今更有名人になれるわけなく歳相応に暮らしていれば否応なく衰えていく運命だ。
美しくなるというのは年寄りの切なる願いだがお金を掛けても先が無いので既に遅し。
それと歳ともに頭髪が薄くなっていく現象は実に切ない。先日アルバムを見ていたら
初孫が生まれた20年前は髪がふさふさしていたが今ではサハラ砂漠に来てしまった。
頭髪再生の薬が発明されたら科学者はノーベル賞だろう。世界の老人が待っている。
歳を取るというのは切ないものだ。ニュースによると「新婚さんいらっしゃい」の司会者、
桂三枝が長期間に亘って浮気していたという。浮気とか不倫とか今更どうでもいいが、
話題にされること、その若さが羨ましい。でも日本は糟糠の妻を捨てるのは軽蔑される。
中高年までは着替える際にも上から下まで「非常時」つまりドラマテックなロマンスの
嬉しい想定外を期待する卑しさもあったが、それも遠い昔の恥心、今も好ましい人は
いるけれど、もう大人の恋は夢のまた夢。アホなことばかりをしていた若い時分よりも、
これからが難しい。昔も今も神は許してくれるかなぁ・・