隠居の独り言(1495)

7年前、オバマが大統領に当選した時のアメリカ人の狂喜乱舞ぶりは凄いものだった。
巧みな就任演説の弁舌は世界の言葉に翻訳され、中には教科書に載せられたという。
行き詰まった世界の救世主のごとく扱われた。米軍のイラクアフガニスタンから撤退、
選挙前から500万人の雇用もぶちあげていた。中でも最大は核保有の廃止を掲げて
のちにノーベル平和賞を頂いた。核爆弾のない世界は人類の悲願といってよいから
オバマの考えは大歓呼で迎えられた。しかし現実に戻れば、そんな甘いものではない。
保有は外交、国防に圧倒的な利点であり簡単に手放す国なんてなく、年追うごとに
インド、パキスタン、イラン、イスラエル北朝鮮にも広がった。核拡散を抑えられない
アメリカの実力も随分と下がったものだ。オバマ演説は単に人類に夢を与えるだけの
言葉に過ぎない。そのオバマ米大統領として初めて27日に広島を訪問するという。
しかし訪問が決まった理由には原爆投下に対する謝罪を求めないという、日本側の
姿勢が明確になったからという。日本側の譲歩も腹が立つが、ふざけんなと言いたい。
そもそも戦争というのは国をバックに戦闘員同士の格闘の殺し合いであり民間人は
戦いの外であるのは「ハーグ陸戦条約」で定められ、日米両国は条約を批准している。
アメリカ人にはアメリカ人の言い分もあるだろう。しかし東京裁判で被告の全員無罪を
主張したインドのパール判事は「アメリカ人は弁明しているがアメリカ兵の命の代償で
罪のない一般の平和的生活を営む市民を殺戮していいというのだろうか」と弁論した。
といって今更、原爆投下の恨みを言わない日本人の度量があることを知ってほしい。
それより当時の敗戦間際の日本には原爆投下は必要ないほど国民は疲弊していた。
謝罪より現職のアメリカ大統領が原爆跡地を見て聞いてこの惨禍が地球上で二度と
繰り返さないよう悲しみを共有し、今後のアメリカのリードに期待したい。