隠居の独り言(1511)

このところテレビが面白くない。といって見る時間の殆どない自分は言う資格もないが
家に帰ってテレビが点いていても、音が騒々しいだけで内容的に得るものは何もない。
輪をかけてつまらないのはバラエティという番組で出演者達が懸命にやったところで
仕掛けが見え見えでうんざりしてしまう。笑って楽しんでいるのはタレントの本人だけ。
これじゃ時間と電気代が勿体ない。そんなわけで普段見るのはニュース、ドキュメント、
そして大河ドラマだけ。ドキュメントと言えば先日NHKの放映された「介護殺人」には
胸が痛んだ。長く平穏に暮した夫婦もやがて年を取り、連れ合いが病気などで倒れて
寝たきり状態になった時、自宅介護で疲れて、本人からも誰からも労りも無く最後は
首を絞めてしまう。介護に休憩時間はない。連れの身になることが人情だが、やがて
疲れ果てるのも当然だ。憎くて殺したわけじゃない。苦しむ連れを楽にしようと自らが
手を掛けるのは罪だろうか。人は誰もが老いて死に向かう過程に変わりはないだろう。
自分もその立場になれば分からない。身につまされる現実を見て、気持ちが暗くなる。
話題をテレビに戻し、大河ドラマは歴史の虚構のドラマだが一年かけての大作なので
一応敬意を表して日曜PM8時を楽しみにしている。特に今年の「真田丸」は戦国期を
描いたもので、難しい時代を生き延びた真田一族の生きざまが視聴者を惹きつける。
一昨年に上田城の桜を見に行って、あの辺りの風景が刻み込まれているので余計に
親しみが沸くのかもしれない。子供のころに読んだ「真田十勇士」の本に登場してくる
痛快な十勇士が出ないのが残念だが、フィクションといえ、猿飛佐助、三好清海入道
霧隠才蔵など、多少のファンタジーがあっても良かったのかなと寂しい思いもしている。
最近は若者のPCやゲームでテレビ離れが顕著だそうだがテレビ界も頑張ってほしい。
何せネットに乗り遅れた年寄りにとって何よりの楽しみがテレビであり年寄りを大切に
しなければならない。若者向けのバラエティ番組は年寄りにとってもうるさいばかりで
もっと、しっとりした番組が出来ないものか。テレビ界の猛省を促したい。