隠居の独り言(1514)

東京都知事選の火ぶたが切られた。有力候補は元ジャーナリストの鳥越俊太郎氏、
総務省増田寛也氏、元防衛相の小池百合子氏。どの候補も甲乙つけがたいが、
思想信条は別にして、鳥越氏に一言申し述べたい。都知事という仕事は激務と聞く。
10年前に直腸がんを患い、その後、肺や肝臓に転移が見つかり現在闘病中の身で
家族全員の反対を押し切って「人生の中で今が一番健康」と胸を張って立候補したが
都知事任期の4年が健康である保証がどこにあるのか、医者もクレッションを付ける。
任期途中で身体の調子が悪くなり知事を退任すれば、都民はまた選挙のやり直しで
選挙の費用のみならず、都政やオリンピックを控えて混乱することは目に見えている。
鳥越氏がガンという爆弾を抱えている以上、都知事に立候補すること自体、無責任を
感じているのは自分だけだろうか。昨年テレビで鳥越氏のアメリカ・ジャズ紀行を見て
ファンになったひとりだが、だからこそ今回は大事を取り完全治癒してから都知事でも
国会議員でも立候補してもらいたい。人生は運不運が付きまとうことは御存じのはず。
まずは御身大切にしてほしい。野党も知名度が高いとて勝てばいいというものでない。
野党のその辺りの情に薄いと感じる。急なこととて公約も間に合わないだろうが、単に
「住んでよし、働いてよし、環境によし」の三つだけでは具体策に欠けること甚だしい。
以前からの鳥越ファンゆえ今回のお粗末な都知事立候補に、まゆつばをつけたくなる。
それと野党共闘のため、選挙事務所もポスターも用意していた宇都宮健児氏が急に
立候補を取りやめたのも何か素直に受け取れない。直前まで鳥越氏を批判していた。
なにはともあれ誰が都知事になってもきちんとこれからの4年間を全うしてもらいたい。
今度こそ都民も、日本国民も、立派な都知事を切望している。