隠居の独り言(1541)

本川達夫著「ゾウの時間、ネズミの時間」を読んだ。動物とは千差万別だが、動物の
サイズが違うと、機敏さが違い、寿命が違い、総じて時間の流れる速さが違ってくる。
行動圏も生息密度も、サイズと一定の関係がある。ところが一生の間に心臓が打つ
総数や体重あたりのエネルギー使用量はサイズによらず同じというから不思議に思う。
生物は等しく心臓が15億回鼓動すれば命がそこで終わる。たとえばハツカネズミは
一分間で600-700回。一回のドキンに0,1秒もかからない。少し大きいドブネズミでは
0,2秒、ネコで0,3秒、人間で1秒、ウマで2秒、ゾウで3秒と、サイズが大きくなるに
従って心周期が長くなっていく。心周期の短いのは、心臓のエネルギーを費やすので
どうしても命が短く、ハツカネズミは寿命1年なのに、ゾウは70年の生涯を送っている。
ハツカネズミはいっときも休むことなく動き回るが、ゾウはゆっくりと体を動かしている。
見た感じと同時に体重は最も組織の量を現わすので単純には計算できないそうだが
おおむね心臓の動きと寿命は大いに関係あり、また体重によっても寿命は違ってくる。
問題は動物それぞれ違う時間、違う時空、違う価値観、違う世界に住んでいるわけで
ネズミは1年で命を全うし、ネコは7年で全うし、ゾウは70年で全うする時間の中で
恋をして繁殖し、次の世代にバトンする生命観というのを彼らはどう思っているだろう。
動物も各々、一生の時間がありネズミは1年を満足しネコは7年の生涯を満足だろう。
人間の作った時間の観念に合わせられる動物にとって中には迷惑なのかもしれない。
時の観念は、自分がネコと15分間遊んだらネコにとっては1時間遊ばれたことになる。
これでは猫可愛がりも相手にとっては迷惑千万だ。動物愛護と言う言葉があるけれど
生き物と付き合う難しさは相手へ優しさの配慮が人間に合わるのは違っているかも・・
イヌは生涯首輪に繋がれればストレスが溜まるだろう。自分が幼い頃はイヌもネコも
自由に走り回っていた。イヌもネコも野生だったら人に束縛なく自由に生きるわけで、
飼われるのとどちらが幸せか。食べ物も、イヌは小動物を捉え、ネコはネズミを捕えた。
動物園の動物も、外敵や餌の心配ないが、自由を束縛された生活は窮屈に違いない。
人のペットとしての動物の飼い方はこれでいいのか。考えさせられる。