隠居の独り言(1576)

早春の2-3月は学校進学の受験生にとって合格が決まるまでの期間が最も過酷だ。
受験は今までの努力の他に出題運も左右する。人生行路の一歩がこれから始まる。
進む学校によって将来の生き方が左右されるのは、或る程度の社会の仕組みだが、
しかし学校も行かず腕一本で成功した人はゴマンといる。松下幸之助本田宗一郎
名前を列挙するまでもなく人生の成功は学校の優劣などあまり気にすることはない。
親は子供に期待するあまりに塾へ行かせ有名学校を望む。しかし、どんな子供でも
小学校を卒業するころには、好きな学課、嫌いな学課、出来る学課、出来ない学課が
おのずとはっきりしてくる。テストの成績だけで人生の目標にするのは馬鹿げている。
子供の才能を見極め、活かせるのが将来にとって最良の道と育てるのが親の務めだ。
よほどの秀才でないかぎり親の希望通りに一流学校進学は無理と初めから諦めよう。
人生は二通りあって自分の好きなことを見つけ専心する生き甲斐を見出して進む者と
世間の位階秩序を重んじ、その中で高い位置を目指す者に分けられる。職人、商人、
芸術家、音楽家、作家などは前者で、サラリーマン、公務員などは後者に入るだろう。
それはどちらも人それぞれの道だが、肝心なのは人間性であって、子供を育てる際に、
しっかり躾けない親が最近多すぎる。子供を叱ることが出来ない。叱ったことが無い。
総じて子の為すまま、放任主義で子が要求すれば与えるのが愛情と勘違いしている。
自制、礼儀、努力、奉仕、人情といった日本人の伝統的な美徳が消えていったのは、
両親がしっかりしない家庭にあるのはいうまでもない。学校教育も戦前あったものは
「修身」の時間があり大人になる規律や作法をしっかり習った。これからでも遅くない。
戦前の全て悪とする教育方針を変え、良きものは取り入れるべきと考える。