隠居の独り言(1582)

このほど経団連と連合が、残業時間を単月100時間未満として、安部総理も了承したけれど
何か違和感がある。仕事の違いも内容も無数なのに十把一絡げにするとは考慮が足りない。
残業が厳しくて自殺に追い込まれた方もいたが、死ぬ勇気を抗議する勇気にして欲しかった。
ナポレオンは3時間しか寝なかったといわれているが大忙しの天才は寝る暇さえ惜しいほど
働いていたのだろう。夜の帳が下りた酒場で一人の客が「俺は忙しくて、忙しくて死にそうだ」
一人の客が「あたしはヒマで、ヒマで死にそうです」世の中は、忙しくて困っている人もあれば、
ヒマで困っている人もいる。人様々なことだけれど、歳を重ねると若い日の忙しさが懐かしい。
英語の忙しいはbusyビジーで、仕事businessビジネスは、忙しいことが原義になっている。
だから、たとえ仕事をしていても忙しくなければビジネスとは言わない。忙しくて儲かってこそ
本物のビジネスだ。でもビジネスに関しても、歳と共に気力が減退していくのは自然の摂理か。
体力、知力が発揮できた若き日のビジネスの情熱が今は夢幻のように思う。人の本能は食欲、
性欲、金欲に尽きるが老いると、それも徐々に衰えるのは逆らえないし、頑張る気分だけが
空回りするのも情けない。利益の無いビジネスは続いても、体力保持と職人の仕事のためで
仕事の欲は失せている。ある程度の年齢になれば、見切りをつける勇気も必要になってくる。
定年後に始めた囲碁、将棋、俳句など諸々趣味も体力や能力の低下で入れ込みが減少する。
今になって良かったと思うには50代の頃にギターを習ったことで、付け焼き刃と違うのもいい。
年寄りは仕事の忙しさが無くなり齢を重ねるごと顕著になり、忙しいのは病院通いだけになる。
歳を取ってみないと分からない。老いとは哀しいもの・・