隠居の独り言(1588)

自分が生まれた昭和一桁は世界各国が保護主義に走って戦争動乱の先駆けとなっていた。
アメリカの資本家が会社から金を引き上げ株安の世界恐慌を起こし、イギリスでは世界中の
イギリス連邦だけの保護貿易を始めた。海外に植民地を持たぬ日本やドイツが貿易のため
領土を広げようと各地に侵略していったのはやむをえない措置だったかも知れない。かくして
持つ国と持たない国がぶつかり合うのは必須でキナ臭くなっていった昭和一桁の世相だった。
そんな動乱さなかの大阪で一人の赤子が生まれた。世相を反映して難産だったと母に聞いた。
母の胎内にいた頃、ドイツではヒトラーが政権を取りナチスが生れ、アメリカでは新大統領に
ルーズベルトが選ばれた。日本は貿易振興のため近隣の中国や満州に覇権を求めたけれど
欧米諸国の反対に遭い国連を脱退せざるを得なかった。有色人種の定めなのかも知れない。
日本は愚かにもヒトラーと手を組んだが、徐々に日本が不利になりアメリカからは石油禁輸の
お触れが出て、遂に太平洋戦争に突入となってしまう。日本国民がどんなに士気が高くても
アメリカの経済力に敵わない。緒戦は勝ったが僅か一年で珊瑚海海戦で日本海軍の艦船の
大半が沈められ制海権、制空権を奪われてしまえば勝負にならない。最初のずさんな戦略は
今もその計画性が分からない。辛酸を舐めた一人の日本人として誰に拳を上げていいのか。
歴史は繰り返すという。保護主義、そして動乱のキナ臭いのはアメリカのシリア攻撃に始まり
北朝鮮のミサイル迎撃のため米海軍原子力空母を中心に日本海に展開している。アメリカは
中国を抜いて北を解決するという。今後がどうなるか、日本の安全にも大きく影響するだろう。
戦争が無かったら・・当時を生きた人はみんなそう思っている。あれから70年以上が過ぎた。