拝啓 永六輔さま
見知らぬ私より始めてお便りを出す失礼をお許しください。報道によりますと
NHK教養講座で童謡のことを話され、その中で「あの町この町」では世の中は
危ない戦争の方向に向かっている。「赤い靴」は靴の色がソ連の社会主義と
重なっている。「七つの子」のカラスは強制連行された朝鮮人の炭鉱の灰塵
の顔の色、等々。普段から私はあなたを敬愛する一人で著書「大往生」など
何回も複読しましたし昨年のBGFでは「見上げてごらん夜の星を」を歌わせて
いただきました。でもこの件はなにか納得出来ないものがございます。これは
童謡の素朴さ、美しさを歪曲し、なにか政治的な意図がうかがえるからです。
私は孫たちに寝かせるときや老人ホームなので唄を歌う時など一体感になれる
ものは童謡に勝るものはないと思っています。どのように解釈するのはあなた
のご自由でしょうが泉下の野口雨情になんとおご説明なさるのでしょうか？
あなたはNHKで講演なされた天下の公人です。聞いた方々は多いはずです。
釈迦に説法も承知のうえで、あなたの一ファンとしてとても憂慮しています。
弱輩もののささやかな異見と失談をお許しください。 敬具
ps写真は昨年秋に行った野口雨情記念館です。
