繁栄

私が生まれた昭和の初期は日本人のほとんどは菅笠被って野良仕事にいそしんでいた。
日本はまだ世界でも先進国の仲間にも入れずに貧しい日々を過ごしていた。ただ軍事費
だけは国家予算の25%もかけて面目を保っていたようだが、庶民は諾々としてそれに従い
日本人としての意気と誇りはもっていた。それは明治の先人の私を殺し公を重んずる精神
が継がれていたからのように思う。けれど戦後、物が豊かになりお腹が満たされた反面、
心が貧しくなってしまった。環境の悪化、犯罪の増加、家庭の崩壊等々、物のありがたさ、
もったいないと思う謙虚さが欠けてきて悲しくさえ思う。

「人間は戦争と貧乏と恋を知らなければ人生の味は半分しか分からない」 米国作家 オーヘンリー