小僧⑦

務めていた店の人余りと将来の指針もあってか、私は某一流繊維会社へ出向の
かたちで転職させられた。仕事の内容は毎日送られてくる何百反の織物を国鉄
秋葉原の集配所へ大八車かリヤカーで取りに行き、それを仕分けして全国の問屋や
倉庫へ運んだり送ったりで、当時の反物の梱包は菰に荒縄で縛り作業はチカラと
コツの要るもので雨の日や冬の寒い時など手の感覚が無くなるほどきついものだった。
織物の産地は北陸や中京地帯が多く、それを細分して全国へ配送するのが仕事でした。
それでも勤務時間は5時までで夕食後は勉強のため会社の方針で学校に通い、商法や
経済一般、外国語などミッチリ仕込まれたが、私の其の後の人生にどれほどのプラスに
なったか計り知れない。それでも約8ヶ月の契約のあとは元の店に戻る事をえなかった。