小僧(聖歌隊)

小僧が大手の繊維会社に出向していたとき先輩に早稲田のグリークラブの出身者がいて
日曜日に進駐軍の教会で歌っていたがある日小僧に一緒に行かないかと誘われ歌ったら
指揮者にテノールが不足しているので入会を勧められ簡単な英語の音読と読譜のテストで
グループに入れてもらった。当時のアーミーホスピタル(新橋ガンセンターと聖路加)の
教会を日曜日に回るわけだが団員たちはカーキー色のバスに乗り前後にMPのジープが
サイレンを鳴らしながら二ヶ所行ったが、道中の気分は例えようのない、いいものだった。
週一度の報酬は一ドル、それもよかったが終わったあとの聖路加のレストラン風の食堂で
食べたステーキやハンバーグ、コーヒー、コーラ、なにもかもが初体験の舌が感動に驚いた。
ホスピタルの中はアメリカ、人はみな優しくて、こりゃ日本が負けるのは仕方ないと実感した。
何年か後、あの時頂いた立派なHymnal(讃美歌集)を紛失してしまったのを今も悔やまれる。