冴え返る春

「冴え返る春の寒さに降る雨も、暮れていつしか雨となり
 上野の鐘の音(ね)もこおる細き流れの幾曲がり末は田川の入谷村」
これは清元「忍び逢う春雪解」だが、南風と北風が交互にくる春の季節を
「冴え返る」と表現している。今の季節には一番の言葉かもしれない。
気象庁天気相談所編「日本のお天気」でも
「朝の出かけにむしむしと暖かいので薄着して家を出たが、朝とうって変わった
 帰りの寒さで風邪を引くのはこういうとき」とある。


「冴え返り 冴え返りつつ 春なかば」  西山泊雲