彼岸入り

harimaya2005-03-17

「彼岸」とは仏教語で、この世の「此岸(しがん)」に
対してあの世のことらしいが亡くなった方がこの世に
一時帰国される大切な時期として墓参する人が多い。
私が子供のころ祖母が分かりやすく説明してくれた。
「ひがんはなぁ、おひぃさんが真西に沈みはってなぁ
 真西にあるあの世とこの世を一本の道を作りはって
 死んだおじいちゃんとも会わせてくれはるんやで」
その言葉は今も信じている。祖母は信心深くとても
優しい人だったが、戦後間もなく家で亡くなって、
そのお棺を私が大八車を引いて妹が泣きながら後ろ
から押し火葬場へ運んだ思い出は彼岸のたび蘇る。
戦後の葬式もない家族だけの別れの行いだったが、
それだけに、残された私たちの思い出は深い。

「手に持ちて線香売りぬ彼岸道」  高浜虚子