小僧一人旅(まえがき)

harimaya2005-03-22

この写真は27才の夏に撮ったものだが、自分ながら
若さっていいなぁとつくづく思う。バイタリティーがあり
希望と夢があり、なにより人生の時間がたっぷりあるのが
なにに替え難く、素晴らしい。  「小僧」の続編を書く。
「降る雪や明治は遠くなりにけり」は中村草田男の句だが
昭和も遠くなるにけりで、その大半を生きていた小僧だが、
太平洋戦争も戦後の混乱期もはるか遠くに過ぎ去って
昭和を知らない世代がこれからの日本を継いでいくのは
嬉しくもあり、淋しくもありの複雑な感慨にふける。
戦後間もなくの東京は混乱のなかにも小僧の住んでいた
下町は江戸の文化も多少は伝承されていた気がするが、
その頃「小僧」を経験した自分にとっては辛いなかにも
中身の濃い日々を経験出来たのは、とても嬉しく懐かしい。
昭和三十年代も半ばを過ぎると世の中は落ち着きを取り戻し
戦後の復興が順調に歩み朝鮮戦争特需は終わったが経済は
高度成長に入り好景気が人々の気持ちを明るくしていた。
そんな中、小僧は会社を辞め、長年の夢の旗揚げをした。
なにもかもヨチヨチ歩きの巣立ちだった。