小泉純一郎(4)

政治家に限らず名を残した人物には物事の潔さが求められる。小泉も民主党党首の
岡田も負けて政権が取れなければ責任をとって辞任すると言う。まことご立派な
ご両人の覚悟でその意味でも今度の夏の陣は戦後の数ある選挙でも特筆ものだろう。
毎日のようにTVなどで緊張して腫れぼったい目の小泉首相は「死んでもいい」と
いう信念と燃え上がるような執念が胸に迫ってくる鬼気のようなものが感じられる。
岡田党首も郵政では後出しジャンケンの感じだが民主のマニフェストを語る姿勢は
いつもの選挙のときとはひと味違う迫力があって好感が持てる。どちらも自らの
退路を断ってひたむきに訴える姿がかつて無いほどの国民の共感を呼んだのだろう。
兜町に伝わる株式相場用語に「陰の極」がある。2003年春頃の株価7000円台から
「陽の時代」に入り現在は12000円台だが「踊り場」からの脱却の景気回復期待感も
煎じ詰めれば企業の構造改革の努力に他ならない。最近の株価上昇は外人投資家の
資金の流れが多いが郵便貯金の民間への投資が日本のみならず世界も注目している
ことを株式相場は敏感に反応している。もちろんその膨大な郵便貯金の資産を外資
食い荒らされないよう注意すべきだ。4年前の初の小泉内閣発足当時の90%という
前代未聞の内閣支持率は後世まで語り継がれるようだが、報道の予想を見ても今回は
そこまで行かずもよほどの天変地異が勃発しないかぎり続投の可能性は高いといえる。
「純ちゃんと叫んだわたしが馬鹿だった」何年か前に某新聞で紹介された時事川柳だが
人の心はうつろい易く勝てば官軍負ければ地獄、けなされる事は多くて褒められる事の
少ない政治家稼業だが、内外の難問の山積する世相に平成の名宰相と称されるぐらいの
政治の手綱捌きを小泉純一郎に期待している。
3年前のことだが俵万智さんと対談して小泉首相は「短歌10首」を詠っている。
そのうちの3首だが・・・・
 「祖父 父にとどけとばかりの万歳に 墓前の線香静かにけぶる」
 「恋人を妻と呼ばれて面映し 否定も出来ず何故か戸惑う」
 「柔肌の熱き血潮を断ち切りて 仕事ひとすじ我は非情か」   純一郎