年金一元化

今度の選挙は郵政民営化一本の小泉劇場に大衆は酔ったが、日々の生活に
関わる年金問題があまり論議の対象にならなかったのはどうしてだろう?
仕事仲間で親しい帽子の縫製職人がいる。彼は当年65歳、若いときから
職人になり結婚して奥方と二人で朝早くから夜遅くまで休日とてろくに無く
ミシンを踏み続けた。労働時間は普通のサラリーマンを遥かに越えている。
むろん彼は国民年金を25年以上を掛けて(月一人13300円)今年の春に
65歳になったので保険所に申し出たら、支給額は月々に約7万円とかで
これじゃぁ食べていけないよ、とこぼしていた。この道一筋に数十年過ごし
人生の大半を働いた職人の収入は出来高払いで、仕事を休んだり、病気や
ケガにでもなれば、無収入になってしまう。しかもサラリーマンのように
年金や保険料が給料からの天引きではないので自らが金融機関に納めないと
未納になる仕組みだ。健康保険料も含めて、自らが払う手間と精神的負担は
辛いものがある。しかも会社負担(会社は損金扱い)の二階部分も無いので
基礎年金だけの老後の生活は厳しいと言わざるを得ない。最近ではニート
若い人たちの年金未払い者が多いと聞くが将来の設計はどうするのだろうか。
たとえ払っていても零細企業、失業者、非正規労働者等々は基礎年金だけの
月額7万弱で、厚生年金約20万、共済年金約30万、議員年金約50万とは
あまりにもかけ離れ過ぎて、その不公平感に一元化は絶対に必要と思うが、
長年、放置されてきた年金改革がここにきてやっと気が付きはじめている。
与党も野党も選挙の掛け声のみで争点を避けるのはなぜだろう。自分たちの
議員年金のためかと勘ぐりをしてしまう。
懸命に汗して働いた者が老後に報いられる制度を切望する。