長寿社会(6)

映画化された昔の物語に「楢山節考」があるが年金も保険も無い
あの時代の年寄りは非生産者として間引きされる運命にあった。
映画は70歳で村の掟に従って母を捨てるために山へ連れて行く
息子(緒形拳)と母(坂本スミ子)の好演が観客の胸を打ったが
家族が生きていくためには誰かが犠牲にならなければならない
貧しさは自然と人間の共生の難しさを知る事を見事に演じている。
日本では「姥捨て山」があるが、西洋の童話では子供を捨てた
ヘンゼルとグレーテル」物語もあって自然と直接に向き合う
昔の人の家族観は、今とは違った厳しさがあったに違いない。
現代では社会全体が年寄りの面倒をみる制度になっているけれど
年寄りもそれを当然の権利と思わず社会に対して感謝しなければ
罰が当たる。北欧の老人施設は優れたものがあるがそれに見合う
税金は重く、デンマーク・スエーデン・ノルウエーなど消費税は
軒並み25%も支払っている。先の選挙で増税反対、福祉優遇など
ツジツマの合わない事を公約している政党もいたが実に情けない。
年金を受け取り、保険で医者にかかれる幸せは、それを負担して
くれる若い人たちがいることを忘れてはいけないと思う。