清澄庭園

harimaya2005-10-21

久しぶりの秋晴れに、新しい空気を
求めて、近くの清澄庭園を散策した。
ここは紀伊国屋文左衛門の屋敷跡だ。
「沖の暗いのに白帆が見える、
 あれはきの国蜜柑船」
元禄時代紀州の生まれの文左衛門が
極貧のなかから、ある恋がきっかけで
豪商にまで登りつめるその人生模様は
多くの作家に取り上げられているが
ロマンに満ちてなかなか素晴らしい。
蜜柑で儲け木材で稼ぎ絶頂を極めるが大名貸しに手を染めたのが
仇となって、その栄華は僅か一代で大輪の花火のように散る。
粋な遊びで時代の寵児となったが、豪奢を極めても草子を読み
俳句をたしなみ風流を楽しんだが、その豪快な彼の生きざまは
立志伝本のなかでも抜きん出て面白く、それは男の本懐だろう。
戦後の松下、本田、中内、現代のIT産業などで儲けた人たちは
それぞれに名を残したが気風の良さでは文左衛門に遠く敵わない。
その後の屋敷跡は江戸の大名や三菱の岩崎弥太郎等の手を経て、
今は庶民の憩いの場所として静かにかつての栄華を偲ばせる。