内憂外患(15)

オペラ「小泉劇場」の最終の幕が開いた。落語で言えば大喜利が始まった。
このほど新しい内閣が発足したが選ばれた人、選ばれなかった人を見ると
首相の人選びは任期が一年弱のせいかフタを開ければ大抵の予想の範囲で
考えてみれば、なかなかに妙を得てさすが名リーダーだと思ってしまう。
ポスト小泉と言われる、安部晋三麻生太郎谷垣禎一など腹心の部下は
重要ポストに入れて、ソリの合わない福田元官房長官や町村前外相などは
蚊帳の外に置いている。靖国問題を例にとれば参拝したかしないに依って
親米派親中派とに区別して、これからの政治信条が見えてくる気がする。
昔、戦国武将の秀吉も家康も天下を取ると、気に入らない部下を左遷して
みずからの基盤の強化に努めた。それにしても戦後の首相で小泉純一郎ほど
大衆の人気を持続した人物はいないだろう。「俺は俺、世間は世間」と言う
彼の信念の割り切りかたが今までの政治家になかったのが受けたのだろう。
記者会見にしても「北朝鮮の交渉はどうですか?」に「わかりませんねぇ」
あのぶっきらぼうな態度は絶品としか言いようが無いが言い訳は一切しない
簡素な答えに国民は好感を持っているのだろう。そして彼の最もの好感度は
人気取りをしない、出処進退をわきまえている事だろうか。任期は一年だが
乞われても身を引くだろうし、その潔さは日本人の美学かもしれない。
いつか詠んだ彼の句を思い出す。
「警護なし横須賀線に一人乗る 大臣辞めてホット一息」  純一郎