内憂外患(16)

先月10/25日の新聞の片隅にローザ・パークス(92)の死を悼む記事があった。
彼女は特別の人ではない。普通の黒人系のオバサンだが50年前のアメリカの
アラバマ州でバスの白人優先席に座った咎で逮捕され拘置所に入れられた事が
発端で公民権運動が起こりキング牧師も参加して著名な活動家になっていくが
やがて彼女が史上の人物として教科書になり学校で教えられているのに気づく。
のちに当時の心境を聞かれて「私は白人のいいなりになることに疲れたの・・」
人間として生きる権利の尊さを訴えた一人の婦人が、神に召されていったが
かつてリンカーン南北戦争奴隷解放したのは100年以上も前の事だったのに
つい50年前だったアメリカでこんなひどい法律があっただなんて改めて驚きと
共に怒りがこみあげてくる。南アフリカアパルトヘイトもひどいものだったが
生まれた人間の皮膚の色で差をつけて蔑み、奴隷として植民化する白人の驕りは
法律が改正されても内面は変わらず黒人のみならずヒスパニックやアジア系にも
矢を向けられた。当時の日本人排斥で移民拒否されたことや、国際連盟で日本が
提案をした「人種平等案」をアメリカが否決したのが、やがて嫌米運動に広がり
大戦の遠因になったが、今の世界も人種的な差別は後を絶たず米国内はもとより
国別でも先進国は白色人種が多く、発展途上国は有色人種の構図は変わらないが
アメリカハリケーンの後遺症、フランスの暴動、基は人種差別のほかならない。
人種間の貧富の差はますます激しく、飽食と飢餓の二極分化は広がるばかりだ。
パークス女史の死は時代の流れを思うが、彼女の願った世界はくるのだろうか。