内憂外患(51)

大阪のマンションで姉妹が殺害された事件で捕まった犯人は僅か五年前に母親を
殺害して少年院を三年余りで仮退院していた若者の犯行に驚いたが、やはりの感も
ぬぐえない。育ててもらった自分の母親を殺して(それだけでも死刑に相当する)
たとえ少年といえ三年間の更生期間で社会に復帰させる法の仕組みが分からない。
戦前は尊属(親など)殺人の情状酌量はなく、ほとんどが死刑をもって償った。
しかも犯人は母親への謝罪の言葉も無く「追いつめられていた選択肢がなかった」
開いた口が塞がらないが弁護士は「更生の兆しがあった」とか言い訳をしている。
なぜこのような非情な人間を野に放つのか被害に遭った人たちの無念が忍ばれる。
江戸の昔から戦前までは人を殺めたら、よほどの事情が無いかぎりは死罪だった。
死罪を免じられても島送りが待っていてそのほとんどが二度と元に戻れなかった。
今の犯人への温情主義はこれでいいのだろうか。被害者のやりきれない無念さを
考えての法なのだろうか。納得のいかない裁判のあり方をつくづくと考える。
古今東西、それが当然のように社会の人は受けとめて秩序と治安が保たれてきた。
それが崩れだしたのは「人権擁護」とやらの考えがともすれば被害者より加害者の
立場に立つ論理が大手を振って歩き出した。弁護士は被害者の悲しさまで無視して
加害者を過保護するあまり、裁判の長期化や刑の軽さにまで方向が進んでいったが
本末転倒といわざるを得ないし、殺された姉妹があまりにも可哀想でならない。
世界一の治安の良さを誇った日本も自分で自分の首を絞めているのだろうか。