隠居の独り言(3)

今年のNHKの日曜大河ドラマ功名が辻」が面白そうなので見ることにした。
若い頃から司馬遼太郎のファンで作品の大半は読んだが、彼の原作にどこまで
忠実に表せられるのか興味津々として見逃せない。戦国時代の難しい世の中を
見事に生きた土佐藩主、山乃内一豊と千代の物語で裸一貫から一国一城の主に
なるまでの出世のストーリーで背景の時代考証も見ごたえがあると思っている。
見ようと思った理由は二つ、一つは司馬遼太郎の原作だからだが、もう一つは
小学校の修身の本に書かれてあった千代のヘソクリで名馬を買い一豊が信長に
褒められた場面が子供心に貯金の大切さを植えつけてくれた事が忘れられない。
普段はあまりTVのドラマを見ない自分だが、今回はその気にさせてくれた。
千代の言葉が素晴らしい「妻が陽気でなければ夫は充分な仕事は出来ませぬ、
その秘訣は、明日はきっと良くなる、と思い込んで暮らすことでございます」
内助の功の見本みたいな千代だが日本史の最高のアゲマンであるに違いない。
一豊にしてもそうだが人生は“運”そのものだと思う。千代と知り合った事、
信長、秀吉、家康に仕えた事、全てが良運に巡り会えて土佐の藩主になるが、
其の後の土佐統治はうまくいったとは思えず彼にとって分不相応だったろう。
司馬遼太郎は同作品の中で「男に出世とはこわい、分不相応の位置につくと、
つい思い上がって人変わりする例が多い」と書いているが誰にも言える事で
最近の晩節を汚した人たちを見るごとに人生は難しいものだと再認識をする。
それはさておき、今年の楽しみが一つ増えた。