隠居の独り言(56)

トリノ五輪フィギュアスケートの金メダリスト荒川静香や天才少女
浅田真央などの華麗な演技を見てスケート熱が急上昇して女の子達で
各所のリンクが一杯らしいが一つの流行で終わらせたくないものだ。
かつてボーリングの中山律子やゴルフの尾崎将司等は一世を風靡した
憧れの人物で大いにそれらの競技を流行らせ産業にも貢献したものだ。
バブル崩壊もあってボーリング場もゴルフ場も次々と姿を消したが、
日本人はとにかく流行に弱くて戦後の一時期を見ても、マチコ巻き、
フラフープ、ダッコちゃん、リカちゃん人形、全学連、スプーン曲げ、
きのこ紅茶等々が流行しては消えて遠い思い出となってしまった。
一人のスターに憧れるのは結構なことだが誰もがなれるわけがない。
流行に囚われず自分の個性をしっかりと持って何かに打ち込まないと
世の中の流れに漂うだけでは浮草みたいに根無し草になってしまう。
素質と根性と運があってもの事は完成に近づくのであって一つ欠けても
花は開かない。豊臣秀吉でさえ辞世の句に「浪速の事は夢のまた夢」で
終わるのだから凡人の我々には頂点を見ることなく人生は終わりだろう。
ガセメールで踊った輩、高校生飲酒で夢を棒に振った若僧、軽佻浮薄な
流行の世相に、よくぞトリノで夢を与えてくれた選手たちに、もう一度
拍手を送りたい。