隠居の独り言(68)

小泉純一郎の首相在任期間が戦後では歴代三位になったと言う。吉田茂
佐藤栄作に続いて長期政権を維持したが最初からの高支持率は変わらない。
首相は「運が良かったのでしょうね、国民が支援し協力してくれたお陰だ、
毎日が精一杯その思いだけで気がついたらもう5年が経過した」と語った。
吉田茂は敗戦の苦境から日本を世界の一員として立ち上げて、佐藤栄作
国の経済繁栄と自民党政権を磐石のものとし、小泉純一郎は政治や経済の
これまでの歪みを是正すべく改革路線を突っ走った。それぞれの多少の
批判はあっても戦後史の中では立派な「首相の器」だったと評価できる。
「織田がこね羽柴がつきし天下餅座りしままに食うは徳川」は戦国時代の
リーダーの性格と歴史の成り行きを描いた、よみひとしらずの落首だが
激動の20世紀は戦国時代にも似て敗戦で打ちひしがれた日本をここまで
復興できたのは国民の努力もさることながら政治のトップに負うところが
多く一時期の安保反対闘争で共産圏に組していればどうなっていただろう。
岸信介が命を賭けて守った日米安保が今の繁栄の基礎になっているのを
決して忘れてはならないと思う。戦後の政治の大半は保守系自民党だが
戦後60年を経て最近の風雲高まる近隣諸国との軋轢をポスト小泉政権
舵取りがとても気になるところだ。民主党小沢一郎管直人を破って
新代表に選ばれた。手ごわそうな感じだが相手にとって不足は無いだろう。
小泉純一郎のフィナーレの幕は格好良く飾って欲しい。