隠居の独り言(163)

仕事柄、電車や車で外出する機会の多い自分だが男にしても女にしても
おしゃれをする人の格好良さを見る楽しさはこちらも爽やかになる。
先日電車の中で見かけた年齢的には歳を召された婦人だがそのシックな
感じはヘアスタイルから控えめな化粧や、色合いのいいワンピースから
ヒールまで見事に調和されているのに思わず見とれてしまった。それは
決して高価なものでなくても自分を演出するお洒落は気分のいいもので
身の引き締まる思いとひとへの思いやりも多分に入っているものと思う。
衣食足りて礼節を知るだが最近の老若男女はだらしない服装が流行って
いるのが気にかかる。若い女の露出過剰や若い男のズリさげズボンなど
若さによる美しさを台無しにしているようで実にもったいないと思う。
中高年のおばさん達も若いときにはあれほど輝いていたのに年を取ると
野暮ったくなるのは何故だろう。衣服を買いに行くときミセス売り場に
行く事と、せめて着るものは若くなくてはと派手な色や柄を選ぶ傾向が
逆にオバサン柄になってしまう。身に付けるアクセサリーも大きなのを
選ぶから余計に身体の皺が目立ってしまうのを自覚するのがいいと思う。
旅行などでそんなおばさん団体の格好を見ると百年の恋も一度に冷める。
男性も歳を取ると身なりを構わない人が多くなるが、老人のイメージが
深まっていく。「伊達男」であり続けるには洒落の気分を捨てないことと
魅力の原点の培った知識や趣味など社会に還元するのが「粋」に繋がる。
お洒落は自分をキザにする事、外見の着るものだけではなくその仕草や
言葉など自然に身に付いていく。いつか見かけた老婦人の上品な魅力は
自分も見習いたいと思っている。