隠居の独り言(164)

お洒落といえば早い話しが自民党総裁選の三候補を比較すれば面白いが
安倍晋三は着るものに殆んど色合いの変化がなく少し野暮ったい感じ、
谷垣禎一は真面目なサラリーマンの部長風で面白くない、その点では
麻生太郎のセンスは抜群にいい。上質な品のよさ、清潔な立ち振る舞い、
歯切れのいい発言、実業家としての実績など次期総裁三候補のなかでは
個人的には好きだが政治の世界は別物でこちらの思い通りにいかない。
若い時はお洒落など気にした事はなかった。年老いて身体の皺が増えて
知らず知らずに背が丸くなり、ある日鏡の中の自分の姿に愕然とする。
若さは戻るはずは無く日を追うごとに醜くさが加速度的に進む齢には
どんなに身繕っても手遅れなのだが救ってくれるものが一つだけある。
それが洒落心を持つことだと思う。ある新聞に渡辺淳一の連載小説が
載るが毎朝読んで、ほんわかとした気分で自分を重ねて切なくなる。
渡辺作品は男と女の葛藤を見事に言葉に表現していつも胸がときめく。
歳を重ねた今も恋に恋をしている。現実の恋は難しいが夢の中の恋に
気持ちを置き換えて恋の歌の詩を作りギターの弾き語りで歌っている。
夢はいつまでも持ち続けていたいと思う。偶然どこかで会えるのでは、
ふと声を掛けられるのでは、百万分の一の確率もない錯覚に陥るのは
妄想の世界だが小説を読む事も映画を観る事も愛の歌を歌う事だって
夢の世界はたいして変わらない。齢を重ねても異性に憧れを持つのが
洒落の基本ともいえる。