隠居の独り言(178)

11年前の地下鉄サリン事件の時、娘は千代田線で表参道まで通勤していた。
あの日の昼のニュースで事件を知ったときどれほど心配したか家族でないと
実感出来ないかも知れない。首謀者の松本智津夫麻原彰晃)の死刑判決が
確定したといっても娘の受けた精神的被害は消えるものでなく今も地下鉄が
怖いという。亡くなられた遺族や後遺症で悩む方々にはお悔やみの気持ちを
申し上げるしかないが、有形無形にいまだに苦しんでいる人々の多い現状は
被告に弁償能力が無ければ国がある程度の面倒を見てあげるしかないだろう。
それにしても浅原被告の弁護士たちの裁判遅延行為は国民の感情からすれば
到底許されるべきでなく弁護士の良心を問いただせねばならないだろう。
盗人にも一分の理があるが一遍の人心もない極悪人に対し国家が何億円かの
弁護費用を負担してまでする法曹制度は果たして国民のためなのだろうか。
そんなお金があったら何故被害者の救済に当てることが出来ないのか司法の
本末転倒に呆れ果てる。決定したのだから麻原彰晃は早々に死刑執行すべき
だが、この世から消えたとしても憎しみは消えるものではない。何も語らず
人を馬鹿にしたような沈黙を通した元教祖にどんな魅力があったのだろうか。
人の考えは分からない事が多く彼の弟子たちも優秀な天才肌の人も沢山いて
どうしてオウム信者に染まっていったのかの解明はこれからの課題だろう。
空前絶後の日本のテロ事件は6年後には航空機がニューヨークのビルを破壊し
世界にテロのウイルスが拡散していく。もしかしてビンラーディンも麻原の
洗礼を受けていたのかもしれない。