隠居の独り言(185)

丹波哲郎市川昭介など有名人の訃報に身につまされるのは歳のせいだろうか。
歳を重ねると平均寿命という数値が気になって自分はあと何年生きられるだろうと
時おり計算したりしてみる。人生の終末は仕方ないとしても同年配の親戚や知人の
葬儀に参列したり、新聞の死亡欄で有名人の追悼記事などを目にすると死は誰もが
避けられない出来事でいつかは自分の番と覚悟をしなければならない。歳を取れば
体力、気力、能力の衰えは嫌でも自覚せざるを得ないが、いかに寿命の最終日まで
健康でいられるか、いかに自立した生活を維持出来るかが問題で分かってはいても
惰性で生きればただのボケ老人で終わってしまうだろう。ただ一度だけの人生も
どうあがいても尽きていくものなら有限の時間を有意義に過ごそうと自分に言い
聞かせて日々を大切に生きる。老いは一瞬のうちにやって来るものではないが
生まれて成長し成熟を経て徐々に潮が満ちるように気かつくと足元が老いと云う
水に浸されている。50や60代ではまだまだと思っても70代ともなると命は
一年契約で来年の事は約束出来ない。それでなくても老人は邪魔扱いにされる。
老人の不安、孤独、絶望、硬直性などはマイナスイメージだが生き方によっては
温和な老人と気難しい老人に分かれていく。その分かれ道は好奇心や情感といった
精神面が旺盛になるか希薄になるかで決まるが、それによっては周りの人からは
尊敬もされ、嫌われもする。いい塩梅に人生を終えるにはそれなりの準備も必要だ。
出来そうもないことは諦める事、身辺整理をする事、人生に身支度にはそれぞれに
事情は違うが健康な中高年のうちに助走を始めないと、いつ襲ってくるかも知らぬ
病気や怪我で寝たきりでは遅いのは言うまでも無い。日本人の平均寿命は男78歳、
女85歳だが健康寿命はそれより7年くらい短い。