隠居の独り言(232)

いま封切られている映画で「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」は
1945年の春先に闘われた日米軍の壮烈な硫黄島争奪戦をそれぞれの立場から
捉えて撮られたとてもいい企画作品と思うが実際の戦争の実態や戦争に至る
原因は一映画でとても語れるものでない。そもそもあの太平洋戦争の原因は
日本はすぐに反省と後悔をしたがるが一方のアメリカから見ると覇権主義
一環で、19世紀の開拓時代からインディアンとメキシコから土地を強奪して
太平洋岸に達しアラスカ・アリューシャンをロシアからタダ同然で買い求め
スペインとの戦いで海洋国家になり東アジアに勢力を広げて、やがてハワイ
グアム・フィリピンを併合して太平洋を自国の海のように西進を広めていく。
地図を見ると分かるが、ここまできて邪魔になるのは日本列島が浮き上がる。
「邪魔者は消せ」とアメリカはそれまで盛んだった日本人移民を排日運動で
移民禁止、満州国不承認、英国と協力して対日関税障壁、石油輸出禁止にまで
日本をどんどん締め上げていくやりかたは、やがて日本が戦争に立ち上がる
要因を突きつけられ全面降伏するか、日本にプライドがあれば戦争以外に
道が無いのは必然の成り行きだ。世界一の繁栄と物量を誇るアメリカとして
日本なんて赤子の手を捻るようなものでイチャモンをつけ戦争に持っていく
手法は今までの米国開拓史と全く変わらない。当時の大統領ルーズベルト
日本の真珠湾攻撃の暗号を解読しながら米国民に知らせなかったのは戦争を
待っていたとしか言いようがない。米国の覇権主義にいいように踊らされて
負かされて心の底までアメリカナイズされた今の日本人の尊厳はこのままで
いいのだろうか。戦後の東京裁判などは驕れる戦勝国の日本国民へのリンチ
そのもので悔しさと惨めさは当時を経験した者にとって生涯忘れられない。
勿論アメリカにはアメリカの言い分もあるだろう。けれど戦争に大義なんて
ありはしない事を肝に銘じるべきだ。12月8日がくるといつも思う。つづく